毎日新聞「でっち上げ記事」を推し進めたのは「加計学園」を問題化したい勢力だったのではないか
2019年当時、元官僚で政策シンクタンク代表の原英史氏が、毎日新聞の記事で名誉を傷つけられたとして1100万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁は1月10日に両者の上告を棄却。毎日新聞に220万円の支払いを命じた東京高裁判決が確定した。 【実際の紙面】毎日新聞の「でっち上げ記事」 「顔写真」入りで1面トップで報じた“問題の記事”
原氏は関連して立憲民主党の国会議員も訴え、こちらでも勝訴が確定している。 なぜ原氏は「狙われた」のか。 その背景には何がなんでも「岩盤規制」を守りたい勢力の思惑があったのではないか、というのが原氏の見立てである。官僚やテレビ局、新聞社、業界団体等々。これは安倍政権時に「加計学園問題」でも指摘されたことだ。 以下、原氏の特別寄稿である。 ***
最高裁では勝利したが
もしかしたら、あの攻撃は『岩盤規制』の発売と関係していたのかもしれない。 2019年6月11日、毎日新聞が一面トップで、私が国家戦略特区に関して不正な利益を得たとの記事を掲載した。私の写真を載せ、見出しには大きく「200万円、会食も」と掲げた。一部の野党議員らが記事に乗っかり、私への誹謗中傷を国会内外で行った。毎日新聞や立憲民主党の森ゆうこ参議院議員(当時)らに対して私は訴訟を起こし、今年1月にようやく最高裁で勝訴が確定した。4年半を経て裁判が決着したのだが、本当にとんでもない出来事だった。
なぜこんなことが起きたのか。 一つ、原因だと思われることがある。 私は、報道の3カ月前に発売した著書『岩盤規制』の中で、規制をめぐる問題点をすべて書いた。岩盤規制の裏側に利権勢力がいかに巣食っているか。それが国民の利益をいかに害し、日本経済の成長を阻んできたか。1980年代以降の規制改革はどのように進められたか。これに対し、利権勢力がいかに改革をつぶし、岩盤規制と権益を維持してきたのか……といったことだ。
電波オークション、ライドシェア……
『岩盤規制』では、さまざまな規制改革つぶしの実例を取り上げた。電波オークションは、90年代以降世界中で導入されたが、日本では実現できずにきた。電波の割当を受けているテレビ局が利権を守るために反対し、テレビ局と資本関係を有する全国紙も反対に回り、「電波オークションなんて導入したら危ない」とのキャンペーンを張って改革をつぶしてきた。 「テレビをネットで同時配信してはどうか」との議論も20年前からあった。欧米ではとっくに実現したが、日本ではまだ十分進んでいない。これもテレビ局の利権のために改革をつぶしてきた結果だ。