最愛夫を看取った3日後に映画撮影、吉永小百合の知られざる「台本のない夫婦の物語」の真実
ただ、この確執も岡田さんの優しさがとかしていった。 「最終的には和解をされています。吉永さんも両親を気にかけていたようですから、岡田さんも妻のためを思っての選択でしょう。“殺意を持った”なんて世間に発表する母親を受け入れたのですから」 紆余曲折あった夫婦の歩みは今年で51年を迎えた。しかし、岡田さんが夫婦の物語から姿を消すことになった─。 冒頭の場面に戻る。
夫の他界の3日後、現場に姿を見せた
9月2日、吉永を乗せた車は、都内の病院を目指して高速道路を走り続けた。夫と、最期の別れをするために。 「この日、吉永さんは群馬県渋川市で2025年公開予定の主演映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の撮影に臨んでいました。映画は登山家・田部井淳子さんの半生を描く物語です。岡田さんの病状も悪かったのでしょうが、共演者のスケジュールもありますから、迷惑をかけられないと予定どおり撮影に参加されたのでしょう」(前出・スポーツ紙記者) 岡田さんは、妻の到着を待つかのように9月3日の午前1時15分に息を引き取った。吉永に看取られながら。 壊れかけた自分を救い、その人生を大きく変えてくれた最愛の夫の死は、身を裂かれる思いだったはず。しかし、吉永は気丈に振る舞う。 岡田さんが他界した3日後の9月6日、吉永の姿は埼玉県にあった。前述した主演映画の撮影に臨んでいたのだ。撮影が終わった同日午後4時過ぎ、共演者である佐藤浩市や天海祐希が現場から帰る中、吉永もしっかりとした足取りで撮影現場を後にした。 「岡田さんの訃報が現場に伝えられたのは、発表と同じ9月13日でした。吉永さんは現場入りしたときも、つらそうな姿は微塵も見せず、いつもどおりの優しい笑顔で“いい作品を作りましょう”と挨拶されていて……。そんなことがあったと知り、胸が痛くなりました」(映画スタッフ) 全力で女優という仕事に挑み続ける吉永の物語は、まだ終わらない。