世界の頂点へ高まる期待 大和ハウス杯囲碁十段戦 井山裕太十段就位式「自分自身高める」
【第5局(4月30日)日本棋院東京本院】
再びニギリが行われ、井山王座が白番に。白は左辺、黒は下辺と囲いあった後、井山王座が下辺に着手すると、芝野十段も正面から受けて立つ決戦模様。井山王座は完璧なさばきを見せて下辺の黒地を削り、左上の大ヨセに回り優勢になった。芝野十段はコウ争いの勝負手を仕掛けるが、井山王座が緩まず押し切り、対戦成績3勝2敗で6期ぶりの十段奪還を果たした。
■大和ハウスから副賞贈呈
特別協賛の大和ハウス工業からは、北海道から沖縄まで全国に76カ所あるダイワロイネットホテルズで使える宿泊券が副賞として贈呈された。
今回の就位式には井山裕太十段の妻や長男、母親も同席して晴れ姿を見守っており、同社の泉本圭介執行役員は「スイートルームの上質な空間で、ご家族の大切な時間をお過ごしください」とあいさつした。
井山十段が昨年7月以来となる3冠復帰を果たしたことについては、「井山十段の信条である『負けを糧にする』を実行された」と泉本氏。「どんな苦しいときも十分な鍛錬を欠かさない姿勢が、リスクを乗り越えて奥深くまで踏み込めた結果だと思います」とたたえた。
井山裕太
いやま・ゆうた 平成元年生まれ、大阪府出身。14年にプロ入りし、21年に20歳4カ月で史上最年少名人(当時)に。28年には囲碁界で史上初となる七大タイトルを独占。29年にも2度目の七冠を達成し、30年に国民栄誉賞を受賞した。二十六世本因坊で、名誉棋聖・名誉天元・名誉碁聖の資格を持つ。昨年防衛した王座・碁聖とあわせ、6期ぶりの十段奪還で七大タイトル3冠に復帰した。タイトル獲得数は歴代2位となる通算75期、七大タイトルは歴代1位の通算60期。
(村嶋和樹)