世界の頂点へ高まる期待 大和ハウス杯囲碁十段戦 井山裕太十段就位式「自分自身高める」
【第1局(2月27日)大阪府東大阪市の大阪商業大学】
14年連続での開催。白番の芝野虎丸十段が下辺で競り合いを仕掛けた。中盤以降は黒番の井山裕太王座が右辺で地合を増やし、中央と上辺が絡んだ生きるか死ぬかの勝負となったが、よりよいシノギを目指した手が失着に。芝野十段がダメ詰まりをとがめ、上辺に的確に手をつけて地合で大差をつけて先勝した。
【第2局(3月25日)東京都千代田区の日本棋院東京本院】
黒番の芝野十段が序盤から右上と右下で厚みを築いたのに対し、白番の井山王座は隅の実利を稼ぐ。井山王座は左辺でハイリスク・ハイリターンなコウ争いを仕掛け、下辺の黒石をのみ込んで優勢に。芝野十段は右下から中央に伸びる白の大石に寄りついての挽回を図るが、井山王座が危なげなくしのぎ、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。
【第3局(4月4日)長野県大町市のANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん】
同地では30回目の開催。序盤は左下隅で競り合いに。黒番の井山王座は下辺に連打したが、左辺でうまく形を決めた白番の芝野十段が下辺に回って治まり、地合でリード。中央の黒石を抜いて厚みを築き、右辺の大場を先手で打って下辺を生きた。井山王座もヨセ勝負に持ち込んだが、正確に打ち進めた芝野十段が対戦成績2勝1敗として十段位初防衛に王手をかけた。
【第4局(4月15日)大阪市北区の日本棋院関西総本部】
井山王座のカド番で迎えた第4局。序盤は黒番の芝野十段が地合で先行して左上に攻撃を仕掛けたが、白番の井山王座も中央に突破を図って反撃すると、芝野十段が長考に沈んだまま昼食休憩に入った。
再開後は左上隅で互角の形勢。芝野十段は中央の白三子を狙って仕掛けたところで本局唯一の失着が飛び出し、白石がつながり井山王座が得をする形に。最強・最善を追求する井山王座は緩まずに白1(実戦の白116手目)の逃げ出しから右辺の黒地に手を付け、白5(実戦の白120手目)が黒の薄みを突く妙手。右下隅を奪い返し、勝勢になった。芝野十段も中央をまとめきったが、右下で失った地が大きく差を縮められなかった。