どんな「適時開示」が、株価に影響を与えるの?
適時開示の対象とされている情報は、投資家の投資判断に影響を与えるような重要な上場会社の情報です。したがって、すべての適時開示が株価に影響を与える可能性があるといえます。 しかし、そうはいっても、やはり株価に特に大きな影響を与えるものと、それほどではないものとがあります。今回は株価への影響を読みとりやすい適時開示について説明したいと思います。
決算短信は株価に影響しない?
株価への影響が大きな情報といえば、やはりまず決算情報です。業績が良ければ、株価が上がりますし、業績が悪ければ、株価が下がります。したがって、決算短信や四半期決算短信が重要な投資判断材料となります。 しかし、決算短信や四半期決算短信が開示されると、その内容を受けて、株価が急に変動するかというと、実はそうではないのです。例えば、今期の業績が減収減益の会社があったとします。業績が減収減益であるという情報は、株価を下げるはずです。ということは、この会社の株価は、次の図のような動きを示すのでしょうか?
普通に考えれば、このように決算短信開示後に株価が下がるはずですが、実はそうではなく、この会社の株価は、通常、次の図のような動きを示します(もちろん株価は、ほかの様々な要因の影響を受けて、より複雑な動きを示す可能性がありますが)。
このように、決算短信が開示される前から、株価が下がり始めるのです。なぜでしょうか? こうした質問をすると、多くの方は、「決算短信が開示される前に決算情報が漏れているのでは?」と答えます。すなわち、インサイダー取引が行われて、その結果、決算短信が開示される前から株価が変動しているのだというのです。(なお、インサイダー取引とは、上場会社の重要情報が公表される前に、その情報に基づいてその会社の有価証券の取引を行うことであり、金融商品取引法により禁止されています) もしかすると、決算短信が開示される前に決算情報が漏れて、インサイダー取引が行われているケースがあるのかもしれませんが、少なくともそうしたケースは多くはないはずです。インサイダー取引が常態化しているとしたら、大問題になってしまいます。