どんな「適時開示」が、株価に影響を与えるの?
理由と経緯に注目
しかし、増資によって生じる株式の希薄化は、あくまで短期的な現象です。増資の目的が前向きなものであれば(例えば、伸びている事業の拡大のための投資など)、中長期的には、業績の向上、そして株価の向上へとつながるかもしれません。増資に関する適時開示後、常に株価が下がるわけではなく、その目的が評価されて、株価が上がることもあります。 増資により価格が下がっている株式の中には、お買い得のものがあるかもしれません。いまは株価が下がっていても、投資が実を結び、将来株価が上がるかもしれないのです。 増資に関する適時開示に限らず、重要なことを決定した場合の適時開示には決定した理由が、重要なことが発生した場合の適時開示には発生した経緯が記載されます。適時開示を見る場合は、理由や経緯の記載をよく読んで、株価にどう影響するのかを考える必要があります。 (事業創造大学院大学准教授 鈴木広樹)