「焼肉きんぐ」食べ放題でペヤングのなぜ 5万食突破、背景に危機感
焼き肉食べ放題で焼きそばを食べる意味
焼き肉食べ放題中に焼きそばを食べるというアイデアは斬新にも感じる。それには、どのような意味があるのだろうか。 霜山氏によると、焼肉きんぐでは「グランドメニューのメインターゲットは30~40代のファミリー層、期間限定フェアのメニューはセカンドターゲットの10~20代のこれから親になり得る人たちというように、明確に区分けしている。期間限定フェアの狙いは、焼き肉目当てだったお客様が今後焼肉きんぐを想起するきっかけの一つになることで、お客様の来店頻度を早めることだ」。実際に、秋に行う「韓国フェア」の期間中は、10~20代の客層が増えることが分かっている。 ただし、食べられる飲食店が限られている韓国料理をそろえた韓国フェアと違い、どこでも食べようと思えば食べられる商品が並ぶCAMPフェアについては「フェアがきっかけで来店するお客様は、ほぼいないと言っていいと思う」と霜山氏は話す。 そこで、今回のCAMPフェアでは、「ペヤングに『好きなものを入れてアレンジしてね!』というメッセージを伝えることで、食べ放題の価値を最大限楽しんでもらいたいと考えた」(霜山氏)。 そのメッセージを伝えるために、冒頭のSNSはもちろん、店舗でも細やかな工夫を欠かさない。 霜山氏は、「うちみたいな訴求ができる注文用タッチパネルは、実はあまりないんですよ」と胸を張る。焼肉きんぐの注文用タッチパネルは、商品をポスターのようにレイアウトした画像を画面全体に表示し、その中で気になる商品の画像をタップすると注文画面に遷移する、フリーレイアウト式のもの。 一般的に思い浮かべる注文用タッチパネルのように、区切られた枠の中に商品画像を配置するボタン式とは異なり、個々の商品画像に大小をつけたり、画像から画像に矢印を引いたりすることができる。「お薦め商品を強調するために、導入当時からこだわっていた注文用タッチパネルだったが、商品のアレンジを訴求するのにもぴったりだった」と霜山氏は語る。 一方で、髙戸氏は「普段は商品をアレンジした様子を投稿するSNSキャンペーンはやらない。100分の食べ放題で忙しい中、商品のアレンジを考えて、作って、写真を撮って、投稿するという行動はあまりお客様にやってもらえないと考えていた」と話す。 それにもかかわらず、想定を上回る投稿数を得られたのは、「アレンジを前提とした打ち出し方がお客様に伝わったからと言えるだろう」との見方を示した。