〈年金月6万円〉妻を亡くした、ひとり暮らしの72歳破天荒な父…訪ねた息子も言葉を失う「あまりに奇妙な生活実態」【FPが解説】
大量に届いた督促状
母の死から1年が経ったころ、総太さんが父の家を訪れると、ポストに大量のチラシが溜まっていることに気が付きました。 「こんなに溜めて……」とポストからチラシを取り出しました。なかはぎゅうぎゅうに詰まっており、無理やり引っ張り出すと、いくつかの書類が地面に落ちました。総太さんは拾い上げた封書の表題をみて、寒気がしました。それは、クレジットカードの督促状だったのです。焦ってほかの書類も確認してみると、住民税、電気代、携帯代の支払いなど、ありとあらゆる大量の督促状が届いていたのでした。 驚いた総太さんは、一体いままでどんな生活をしていたのかと、良一さんを問い詰めます。あっけらかんとしている父の答えはこうでした。 なんと良一さんの家には、30代~50代の複数の女性達が交代で訪れており、料理をしてもらったり家事をやってもらったりして、代わりに好きなものをご馳走し、一緒に食事を楽しみ、お酒を飲んでいたというのです。 若いころから女性にモテていた良一さん。その魅力は高齢になっても健在で、自身が経営するバーのお客さん達やお店のスタッフが、家事のできない良一さんを心配してきてくれているのです。 しかし、ほとんど毎日来てくれる女性達にご馳走しているものですから、そんなに贅沢なものを食べているわけではないにも関わらず、毎日の食費が5,000円以上になり、当然お金は足りなくなってしまいます。 もともとお店の経営もどんぶり勘定で、まったく数字を見ておらず実際の所得は不明、毎月6万円程度しかない年金でお店のお金も家計もごちゃ混ぜの自転車操業状態、それに加えて高額な食費が掛かってしまっていたため、資金が枯渇していただけでなく、消費者金融からも複数社から借り入れをしており、返済不能な状態だったのでした。 衝撃の事実に総太さんは言葉を失いました。 (ここまで考えなしだったとは……) いくら責め立てても、父親は気にも留めていない様子です。結局その日は退散した総太さん。 結果、総太さんは、店の経営は知人の複数の飲食店を経営する社長に任せ、父には自己破産させることにしたのでした。