無期懲役囚が刑務官をノミで刺して重傷 4カ月経つも千葉刑務所は非公表 受刑者らは「明らかな管理ミス」
●事件が起きた工場、拘禁刑に向けた新処遇を導入していた可能性
関係者の間で千葉刑務所の隠蔽を疑う声が上がっているのは他にも事情がある。 それが来年6月の「拘禁刑」導入だ。明治以来となる刑の見直しで、立ち直りを重視する方向へと大きく変わろうとしている。 全国の各刑務所では今、新たな刑のあり方を模索する取り組みが展開されており、今回事件が起きた工場はその試行的な場だったという。 受刑者によると、この工場では今年春から新たな処遇が始まった。5人ほどの受刑者が選抜され、従来は職員の許可が必要だった作業中の会話がそのメンバー間であれば不要になるなど、受刑者の行動制限が緩和されたり主体性を尊重したりする取り組みが進んでいたという。 来年の拘禁刑導入に向けた積極的なトライアンドエラーが求められている中で今回の事件が起きたことから、事件を公表することでこうした取り組みに水をさすことを刑務所や法務省の幹部が恐れているのではないかと邪推する関係者も出てきている。
●千葉刑務所「お答えできない」
事件が起きた経緯や矯正関係者から上がっている疑念の声について、弁護士ドットコムニュースは千葉刑務所に事実確認を求めたが、詳細な説明は得られなかった。 千葉刑務所の竹田孝一郎・総務部長は「事件があったことは認めるが、公表している事案ではないため現時点でお答えできることはない」と話した。