国民・玉木氏をじわじわ追い詰める自民の戦略 対自民の「戦略」「党内ガバナンス」欠如に不安
「10・27衆院選」での大躍進で一躍「時の人」となった玉木雄一郎・国民民主党代表(役職停止中)の勢いが止まらない。衆院選での“国民的推し活”の対象となった「玉木党」が、圧倒的野党第1党の立憲民主を押しのける形で石破茂政権を揺さぶっていることに、「多くの国民が拍手喝采で後押ししている」(政治ジャーナリスト)からだ。 選挙戦で「若者をつぶすな」「手取りを増やせ」と叫び続けて議席を4倍増させた玉木氏は、選挙直後の「不倫」発覚をものともせず、その後の「宙づり国会」で持論の「103万円の壁」の大幅引き上げを狙うことで、「与野党攻防の主役」(同)を演じ続けている。
ただ、“聖域”とされてきた自民党税調の抵抗もあって、中央政界では「決着が次期通常国会に先送りされたことで、攻防の構図が変わる」(自民国対)との見方も広がる。 というのも、「自民党も覚悟していた『年内円満決着』が実現しなかったのは、国民民主内のガバナンス欠如が最大の要因で、交渉役の古川元久代表代行と玉木氏とのあつれきが協議進展を阻んだ」(自民税調幹部)との厳しい指摘が少なくないからだ。 このため、「強かな自民党は、通常国会では国民民主の複雑な党内事情を踏まえ、じわじわと玉木氏を追い詰めていく戦略」(自民長老)とされ、税制専門家から「壁引き上げを巡る“玉木現象”も、そろそろ賞味期限切れ」(有力経済学者)との声も出始めているのが実情だ。
■「交渉越年」で玉木氏が「150万円」に言及 大波乱が想定されていた少数与党下での臨時国会が、結果的に平穏理に閉幕した24日、玉木氏はMBSテレビ生情報番組「よんチャンTV」にVTR出演し、「103万円の壁」引き上げを巡り「150万円まではいかないと」などと、具体的な目標金額に言及した。これについて自民税調関係者は「要するに、150万円が実現すればゲームは終わりということ」(幹部)と苦笑した。 そもそも、「壁」引き上げを巡る自公国交渉は、国会閉幕に合わせて24日に行われる予定だった。しかし、直前になって「宮沢洋一自民税調会長の日程が取れない」(自民執行部)ことを理由に、協議自体が年明け以降に先送りとなった。