<逃げ上手の若君>「作画の本気度が凄まじい」美麗かつ迫力のある映像に感動の声 “生き延びる才能”をもつ主人公が動乱の世を駆け抜ける…
週刊少年ジャンプにて連載中の松井優征よる人気漫画「逃げ上手の若君」(毎週土曜深夜11:30-0:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)がついにアニメ化。7月6日に放送されたTVアニメ第一回では、鎌倉幕府の後継者である主人公・北条時行の平和な日常から一転、突然の謀反で故郷が火の海と化す悲惨な光景が描かれた。そんな中で時行の“生き延びる才能”が開花するスピード感溢れる展開に、視聴者から絶賛の声が上がった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】主人公・時行の逃げ足の速さに、目玉が飛び出るほど驚く諏訪頼重(CV:中村悠一) ■「逃げ上手の若君」 本作は、「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」で知られる松井優征が週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の歴史スペクタル漫画を原作としたTVアニメ。鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残りである主人公の北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描く冒険譚だ。 アニメーション制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手掛けるCloverWorks、監督は「ワンダーエッグ・プライオリティ」で副監督を務めた山崎雄太、シリーズ構成は「その着せ替え人形は恋をする」の冨田頼子、キャラクターデザインは「劇場版ポケットモンスター ココ」で総作画監督を務めた西谷泰史が担当。奇才の製作陣が、美麗かつ迫力のある映像で歴史の一片を紡ぐ。 ■平和な日常から一転、悲劇の幕開け 物語は西暦1333年の鎌倉から幕を開ける。冒頭、原作よりも長めに尺を取って描かれるのは、これから訪れる悲劇をまだ知らない無垢な少年・北条時行(CV:結川あさき)の平和な日常だ。鎌倉幕府14代執権・北条高時の次男として生まれた時行。だが、病弱な高時はお飾りの総帥で、後継者である時行も武芸の稽古から逃げ続け、大人たちを困らせてばかりいた。怠惰だ、臆病者だと揶揄されても本人は気にせず、当たり前の幸せをただ一身に享受する。しかし、時行は突然の謀反で全てを失うことになるのだった。 謀反を起こしたのは、鎌倉幕府の“若き守護神”と呼ばれる武士・足利高氏(CV:小西克幸)。時行でさえも恐縮してしまうほど、北条家からの信頼が厚かった高氏は後醍醐天皇ら討幕派を鎮圧するため京都へ向かったはずだった。しかし、それはあくまでも表向きの行動。実は密かに後醍醐天皇と内通しており、上洛中に北条家を裏切って京都の幕府軍を壊滅させた。 すると瞬く間に倒幕派の勢いが膨れ上がり、平和な日常から一転、時行が愛した鎌倉の街は火の海と化す。反乱軍は北条家一族と家臣たちを皆殺しにし、冒頭では笑顔を見せていたキャラクターたちの無残な姿が映し出された。その容赦のないバイオレンスな描写に製作陣の本気を感じる。この時、時行は8歳。まだ年端も行かない子供には壮絶すぎる光景だ。 ■時行の“生き延びる才能”が開花した瞬間 そんな時行に手を差し伸べたのは、信濃国の神官・諏訪頼重(CV:中村悠一)。高氏が謀反を起こす少し前、頼重は娘の雫(CV:矢野妃菜喜)とともに時行のもとに現れた。印象的なのは、その癖が強すぎるキャラクターだ。神力を操り、未来を見通すことができるというが、肝心の内容は曖昧で、どこか胡散臭い頼重を中村悠一がコミカルに熱演した。 一方で、時行に「二年後、十歳の時に貴方様は天を揺るがす英雄となられまする」と告げる表情は真剣そのもの。鎌倉幕府滅亡も分かっていたかのように悲惨な光景を前にしても一切動じず、高時からの命令に従って時行を保護する。しかし、いざという時は潔く死ぬことが武士の美徳とされた時代。生に執着することを拒む時行を「では死になされ」と頼重は敵の群に放り出す。一見、血も涙もない行動に思えるが、頼重は分かっていたのだ。時行は窮地の時にこそ真価を発揮すると。 時行が北条家の生き残りだと分かるや否や、一斉に襲いかかる反乱軍の武士たち。その瞬間、時行の生存本能に火がつく。次々と繰り出される攻撃を見事にかわし、頼重の元に舞い戻ってきた時行が放った言葉は「死んだらどうする」。その字面からは伝わってこない、恍惚とした声色と表情が時行の変態性を物語る。時行は生死を賭けたスリルに興奮と快楽を覚える生存本能の怪物だった。 そんな時行に、頼重は「高氏は殺すことで英雄となり、貴方様は生きることで英雄となる」と告げる。高氏がいずれ殺しに来る時まで、頼重らとともに逃げて再起を図ることになった時行。天下を取り返す鬼ごっこの始まりがスピード感を持って描かれた初回の放送に、視聴者から「作画の本気度が凄まじかった」「死んだらどうするのところの表情と演技良い」「頼重様登場シーン、アップダウンの激しいセリフ全部が頼重様そのもので、中村悠一様~!!と平伏した」と絶賛の声が上がった。 ◆文/苫とり子