勘違いから生じた第3次世界大戦が近づいている
継続中のガザ戦争は、レバノンに波及している。それはさらにイランへと波及し、トルコやサウジアラビア、エジプトを飲み込むかもしれない。そうなると、中東戦争へとつながり、それはやがてそれぞれの国を支援しているアジア・アフリカなどの諸国へと波及し、われわれ日本人も巻き込まれる可能性が大である。 ■世界大戦はなぜ「世界大戦」だったのか 世界大戦がなぜ世界大戦だったのかを振り返ってみると、第1次世界大戦は主に欧州での戦争であったのだが、そこに参加した人々はアジア人やアフリカ人などさまざまだったのだ。それはこの戦争が、アジアやアフリカの植民地をめぐる戦争でもあったからである。
第2次世界大戦では、欧州のみならず、主要戦場の1つが東アジア、東南アジアであったことは間違いない。しかし、それはそれらの国の植民地を飲み込む戦争で、まさに世界中で戦争していたといえる。 世界大戦が起こった場合の最大の悲劇は、個々の犠牲もさることながら、それを止める方法がないということである。それは、現在をつくりあげているわれわれの価値規範をも消してしまうからだ。 1945年6月26日サンフランシスコで「国際連合憲章」が調印され、国際連合が生まれるが、戦後の世界の規範はこれによって成立している。世界戦争が起こるということは、この憲章違反であり、戦後世界の価値観を完全に葬りさることだからである。
その憲章の冒頭の言葉を、少々長いが引用しておく。 「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳および価値と男女および大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約そのほかの国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することが出来る条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、かつ、善良な隣人として相互に平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除くほかは武力をもちいないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的および社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。よってわれら各自の政府は、サン・フランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められ代表者をつうじて、この国際連合という国際機構を設ける」(『国際条約集』、有斐閣、2012年、15ページ)