大勢の前で話す時に緊張するのは「当たり前」。緊張を入り込ませる余地を限りなく<ゼロ>に近づける意外な方法とは
◆話しかける人を1人にする 目の前の作業に没頭すれば、余計な感情(緊張)が入り込む余地は限りなくゼロに近づきます。 「お葬式の理論」ですね。葬儀の際に何故あれほどまでにやることが細々と決められているのかといえば、しきたり(タスク)をたくさん設定することによって悲しみから一時でも逃れようとする、先人の知恵なんです。 では、どうすれば自然に観察できるようになるかというと、まずは話しかける人を1人にすること。 え? 大勢の前で話すのに、1人だけに話しかけたら他の人には伝わらないんじゃない? ところが、そうではないんです。むしろ逆です。例えば『徹子の部屋』などゲストを招いて行うトーク番組では通常はカメラ目線ではなく、ゲストのほうを向いて話していますよね。 だからといって、我々視聴者と目が合っていないから話が入ってこないということはありません。 逆に終始カメラ目線をしている代表例が『政見放送』。彼ら彼女らの話はダイレクトに伝わってきますか? ね、そういうことなんです。目線が合っているのと伝わることはイコールではないのです。
◆「会話」 では何故、トーク番組は目線が合っていない視聴者に話が伝わるのに、目線が合っている政見放送の多くは話が伝わってこないのでしょうか。 それはトーク番組が「会話」として成立しているからです。コミュニケーションとして成り立っているから、話している内容を受け取りやすいのです。 政見放送は多くの場合、カメラに向かって1人で淡々と話しています。こういう場合はコミュニケーションとして成立しづらいのです。 1人に話しかけるのは「会話」と同じです。大勢を前に話すより緊張もしないし、聞き手の表情や態度がわかります。聞き手の様子がわかると、自然に間が作れますし、伝えようという熱意が湧き上がります。 「この人にわかってもらおう」と思えば、必然的にその人の様子を観察せざるを得なくなります。つまり聞き手の観察に自然と集中できるのです。 観察に集中することができれば、他のノイズ(緊張)が入り込みにくくなるのです。 これはスピーチやプレゼン以外でも全く同じことです。試しに面接試験でもやってみてください。 え? それでもし緊張したら? そんな私を緊張させるようなこと、言わないで下さいよぉ~。 ※本稿は、『すぐに使える! おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術 お笑い芸人・話し方講師の二刀流が教える 56の絶対ウケる法則』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
桑山元