<夢への軌跡~22年センバツ丹生~>戦力分析 守備 投手層に厚み、捕球強化 /福井
18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に21世紀枠で出場する丹生。その守備の要は主戦の井上颯太投手(1年)だ。昨秋の県大会で最速140キロの直球とスラーブなどの変化球を巧みに使い分け、5試合で37回3分の2を投げ、奪三振は37、防御率は1・91を記録した。この冬にフォームを見直し、球威がさらにアップ。全国の強豪との対戦を心待ちにしているようだ。 昨秋は「井上頼み」だった投手陣だが、一冬を越えて層に厚みが出てきた。小松龍生投手(1年)は回転数が多く伸びのある直球を軸に安定感が増し、計算できる投手に成長してきた。一塁手も務める小松海夢選手(2年)は投げ方を工夫し、球速が2月下旬に140キロに到達。さらにけがから復帰した三塁手、来田竹竜主将(2年)はリリーフ投手としても起用できるといい、春木竜一監督は「『井上が絶対的エース』という状況は崩れつつある」と目を細める。 来田主将の復帰で内野陣の競争が激化した。特に昨秋の県大会で三塁手を任されて台頭した牧野喬悟選手(2年)が挑戦する二塁手のレギュラー争いには、浅野研磨選手(2年)や田村渉選手(2年)ら今冬に成長した選手らが加わり、し烈な争いを繰り広げている。いずれも安定感や守備範囲の広さを強みとしており、春木監督は「牧野を守備固めのスーパーサブとして途中で起用するなどさまざまな策が考えられる」と話す。 内野陣の充実は、丹生にとって必須の課題だった。昨秋は内野のミスが絡んだ失点が多かった。そのため、今冬は基本的な捕球練習に多くの時間を割いてきた。また。二遊間のコンビプレーやサイドスローでの送球練習などにも取り組み、連係面や技術面の向上を図ってきた。今月上旬の練習試合では、流れが悪くなってもミスの連鎖を防ぎ、冷静に一つずつアウトを重ねるなど、練習の成果が出ていた。 外野手では、甲子園球場のレフト方向に吹く浜風対策として、ボールの落下地点予測が得意な吉田樹利選手(2年)を昨秋の中堅から左翼へ転向させる案が浮上。打撃が好調な小松龍生投手を外野で使い強肩を生かす策もあるといい、誰を起用するかの試行錯誤は本番ギリギリまで続く見込みだ。春木監督は「打撃面での貢献度も含め、最適な人選をして試合に臨みたい」と話している。【大原翔】