「ドゥカティ史上最軽量の54.5kg!」をアピールした890ccVツインが登場!ピークパワー120psで新型パニガーレV2/ストリートファイターV2に搭載
実用的な低中回転域もフォローするインテーク可変バルブタイミング
新型Vツインでの、さほどアピールされていない変更としては、ドカティ伝統のバルブ開閉機構(デスモドロミック)をやめ、チェーンカム駆動+バルブスプリング作動となったことも挙げられる。 そしてIVT(Intake Variable Timing)=インテーク可変バルブ・タイミング機構により、新V2エンジンは、低回転域で非常にリニアなトルク伝達、俊敏で快適なスロットル・レスポンス、高回転域でのスポーティな特性を実現。 IVTは、カムシャフトエンドに設置された位相バリエーターを使い、インテーク・バルブの制御タイミングを52°の範囲で連続的に変化させることができるが、エンジン回転数とスロットル開度に応じて最適なバルブ・オーバーラップを設定でき、低中回転域ではスムーズで持続的なパワー曲線を、高回転では優れたパフォーマンスが得られるという。 また、最大トルクの70%以上は3000rpmで発生し、3500rpm~1万1000rpmの範囲では常に最大トルクの80%以上を維持。常用回転域でも乗りやすさを求めたドゥカティの新たなVツインという面でも、興味深い存在となりそうだ。
デスモ機構は廃止されたものの、次世代を見据えたコンパクトVツイン
クランクケースはダイカスト製で、シリンダーライナーの周囲にウォーター・ジャケットを配置。そして、スーパークアドロエンジンと同様、新V2エンジンには、アルミニウム製のシリンダーライナーを採用。このライナーがクランクケース・ハウジングの穴に挿入される設計により、シリンダーヘッドをクランクケースへ直接固定でき、エンジン剛性を引き上げつつエンジンのコンパクト化を実現。そして薄く仕上げられたシリンダーライナーの恩恵で、クーラントでの高い冷却効率も確保できた。 また同エンジンでは、ウォーターポンプがフロントシリンダーのヘッド部分に配置されており、エンジン全体の寸法を小さくでき、これが車体全体のコンパクト化にも貢献。同時に、エンジン外部への冷却経路の露出を最小限に抑えて、エンジンの外観もすっきりできたという。ほかにもVバンク間に水冷オイルクーラーを配置でき、従来のオイルクーラーが不要になったこともエンジンのダウンサイジングと軽量化に貢献したという。 発表資料を読む限り、パワー特性のブラッシュアップや軽量コンパクト化が果たされた新エンジンは、かなり実用的でワイドレンジに使えそうなミドルVツインに仕立てられている模様。ドゥカティ伝統のデスモ機構の廃止、そしてV2としての究極のパワー追求したエンジンではないことに冷めた反応をするエンスージアストもいるだろうが、多用な機種への応用も想定し常用域でも楽しめる設定とした説明を読むにつけ、この「ドゥカティVツインの新章」が少なからず期待を抱かせる内容だと感じるのは筆者だけだろうか。 まとめ●モーサイ編集部・阪本 写真●ドゥカティ
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