市立船橋、「高い集中力と結束力、あふれる熱量で、 一試合一試合、大事に戦っていく!」
激戦区の千葉を勝ち抜いた市立船橋が、3大会連続で総体への出場権を獲得した。 宿敵・流経大柏との県決勝は、後半13分にエースのFW10久保原心優(3年)が先制ゴールを決めたものの、その喜びも束の間、その7分後に同点に追いつかれる。だが、後半33分にFW9伊丹俊元(3年)が値千金の一発をねじ込んだ。 【フォトギャラリー】流通経済大柏 vs 市立船橋 高校年代の最高峰リーグである高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 EASTを戦う両校。12チーム中、首位に立つ流経大柏に対し、最下位の市船という決勝直前の順位から「流経大柏優位」の声が多かった。しかしながら、そんな大方の予想を覆し、市船が総体の開催地である福島行きを決めた。 「ひとつひとつ勝ち上がるごとにチームとして自信を深めていきましたし、成長してくれました。決勝の相手はU-18プレミアリーグの首位チーム。私たちはチャレンジするのみ。厳しい戦いでしたが、総体への代表権を得ることができて、本当にうれしく思います」(市船・波多秀吾監督) 攻撃陣のキーマンは、何といってもFW久保原だろう。昨年度のチームには郡司璃来(現・清水エスパルス)という突出したタレントがいた。その傍らでのびのびとプレーしていたが、3年生の今年度はチームをけん引すべき立場になっている。 安定感あるポストプレーから周囲の動き出しを促すだけではなく、当然ながらアシストやゴールといった最終局面の仕事にもかかわっていく。U-18プレミアリーグではいまだ“今季初ゴール”が生まれていないものの(6月23日時点)、総体予選では初戦の翔凜に対して2ゴール、そして前述のとおり決勝でも1ゴールを挙げ、勝利に貢献した。 「U-18プレミアリーグでは点が取れていませんが、特に焦っていません。シュートを打つべきところにしっかり入っていますし、ゴールポストに当たって外れるとか、ちょっとした運がないのかなと感じています。でも、総体予選で結果を残すことができ、これをいいきっかけにしたいです」 どこかひょうひょうとした印象のFW久保原。「プレッシャーをあまり感じないタイプ」と冷静に自己分析しつつ、こう付け加えていた。 「昨年は、まず郡司君にマークが集中するので、そのおかげで僕のところにシュートチャンスが数多く回ってきました。でも、今年は自分が攻撃の流れを作ったり、周りを生かしていくようなプレーも心がけています」 守備陣を仕切るのは、キャプテンのCB5岡部タリクカナイ颯斗(3年)やGK1ギマラエス・ニコラス・ロドリゲス(3年)だ。もともと攻撃的なポジションでプレーしていたCB岡部は非常に得点力があり、総体予選の中央学院戦で放った目の覚めるようなミドル弾は記憶に新しいところだろう。本大会に向けて、キャプテンがこう意気込む。 「昨年のチームに比べて、自分たちはまだまだ力不足。だからこそ、油断とか、妥協とか、そんな意識は一切なく、もっともっと成長しなければいけないです。前回の総体では、あれだけ素晴らしい先輩たちがそろっていても優勝できませんでした。難しい大会だというのは理解しています。でも、(決勝の流経大柏戦で見せたように)みんなで力を合わせれば、何かを起こせる。僕らには市船を背負うというプライドもありますし、まずは前回のベスト8以上を目指して頑張りたいと思います」 GKギマラエス・ニコラス・ロドリゲスをはじめ、FW久保原、FW伊丹、CB岡部、MF7峯野倖(3年)、右SB2井上千陽(3年)らは前回大会の経験者たちでもある。千葉を代表して出場するだけに、秘める思いはもちろん優勝だろう。だが、あまり先を考えすぎず、総体予選で見せたように高い集中力と結束力、あふれる熱量で、一試合一試合、大事に戦っていく。それが市船スタイルの肝でもある。 7月27日、総体の開幕が待ち遠しい。 (文・写真=小室功)