<ワン・ゲーム>いざセンバツ交流試合/下 鳥取城北・平田 「最高のプレーを」決意 /鳥取
山陰両県の高校野球県独自大会で、鳥取城北(鳥取市)と平田(島根県出雲市)は手応えをつかむ一方、課題も突きつけられることになった。2020年甲子園高校野球交流試合(センバツ交流試合)は10日開幕し、鳥取城北は第1日第2試合で明徳義塾(高知)と、平田は第2日第2試合で創成館(長崎)と対戦する。新型コロナ禍の特別な春と夏の集大成。両チームは聖地にどんな足跡を刻むのか。【野原寛史、小坂春乃】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 「圧倒して優勝する」との目標を掲げた県独自大会で、鳥取城北は初戦から2試合連続で零封勝ち。準決勝では米子工の好投手を打ちあぐねたが、安保龍人捕手(3年)や畑中未来翔(みくと)外野手(2年)の本塁打などで攻略した。 この大会で打率5割と活躍した畑中外野手はコロナで休校中、重さ9キロの丸太を抱えて体をひねるトレーニングで筋力を強化、冬場から体重を7キロ増やして長打力を磨いてきた。制球難を抱えていた中川央(ひろき)投手(3年)も準決勝で完封と成長を見せた。 だが決勝は倉吉東の投手の緩急にほんろうされ、5―7で逆転負け。持ち味の足を生かした攻撃も不発で、山木博之監督(45)は「粘り強さで負けた」。歓喜して校歌を歌う倉吉東ナインを見ながら河西威飛(いぶき)外野手(3年)は泣いた。大会で打率4割6分6厘、本塁打を含む長打は4本。中軸の役割を十分に果たしたが「ベンチ外の3年生に申し訳なかった。甲子園こそは笑って終わりたい」と語った。 明徳義塾のエース左腕・新地智也投手(3年)は全国屈指の制球力を誇る。鳥取城北は、高知県独自大会などの映像をチェック、練習でも左投手対策を徹底するが、山木監督は「最終的には自分たちの人間力、集中力を出せるかだ」と考える。 昨秋の中国大会で準優勝した自信。冬場のきついトレーニング。休校中の孤独な自主練習で精神面も鍛えられた。吉田貫汰主将(3年)は「一生に一度の甲子園。最高のプレーをして勝ちたい」とまなじりを決している。 ◇ 島根県独自大会で平田は初戦から危なげなく2連勝したが強豪私学・開星との接戦を落とした。植田悟監督(48)は「ここからスタートだ」と、走り込み中心の厳しい練習を指示。開星戦であったサインミスを防ぐため、意思疎通のやり方も見直した。 開星の野々村直通監督(68)は平田野球を「個をわきまえて仲間につないでいく」と高く評価する。平田の保科陽太(ひなた)主将は、投打に抜きんでた選手がいないからこそ「自分が犠牲になって走者を送る。三振ではなく打たせて守る。束になってかからないと勝てない」。そんな自分たちの野球を夢舞台で貫いてみせる。