山形県沖でサンゴ発見、「北限」佐渡から80キロ北上…不向きとされた低水温でも生息
新潟県・佐渡島が北限とされていたサンゴが、緯度で約80キロ・メートル北に位置する山形県鶴岡市沖で見つかった。山野博哉・東京大教授(自然地理学)らの研究チームが10月に現地で確認した。不向きとされた低水温でも生息できるという発見だ。地球温暖化で海水温が上昇し、生息域が北上していることも背景にある。
見つかったのは、太平洋からインド洋にかけて広く生息する「キクメイシモドキ」。サンゴ礁を作るタイプで、水深約5メートルの岩場に、直径1~4センチに成長した群体が9個あった。
山野教授によると、このサンゴが生息できる海水温の下限は10度程度とされていた。気象庁などによると、同県沖を含む日本海中部は2023年までの100年で海面の平均水温が約1・9度上昇し、見つかった岩場の周辺では最も寒い時期でも5~8度あるという。山野教授は「より低温でも生息できる可能性が示された。サンゴの分布変化の予測にも影響する」と指摘する。論文が近く日本サンゴ礁学会誌に掲載される。
地元のダイビングショップ「アーバンスポーツ」の相星克文代表(63)は「昨年にサンゴを見つけて驚いていた。山形県沖では暖かい海に生息する魚が泳いでいることもあり、海洋環境の変化を感じている」と話した。
サンゴをめぐっては、一部の生息地域で記録的な高水温が影響したとみられる「白化現象」が問題になっている。太平洋側の北限は、千葉・神奈川県沖とされている。