元関脇妙義龍が引退会見「悔いもないし、全てやりきりました」37歳「まさかこの年まで現役でできるとは思わなかった。幸せな土俵生活でした」
大相撲秋場所限りで現役を引退した元関脇妙義龍の振分親方(37)が26日、東京・両国国技館で会見を開いた。初土俵から15年。「最後まで現役生活を全うできた。悔いもないし、全てやりきりました」とすがすがしい表情を見せた。 西十両9枚目だった秋場所を膝痛のため全休。幕下転落が避けられなくなり、引き際を迎えた。「ここ2、3年ぐらいはやっぱり自分の相撲が取れないなというか。自分の武器のスピード感とか体の柔らかさとかが今までと違うのを感じた。イメージ通りに動かなくなった」と引退の理由を明かした。 兵庫県高砂市出身。埼玉栄高から日体大を経て境川部屋に入門し、2009年夏場所で初土俵。10年初場所で新十両に昇進し、11年九州場所で新入幕。12年秋場所で関脇に昇進した。おっつけや右差しを生かした速攻相撲で活躍した。 新十両場所の2日目に左膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大ケガ。3場所連続全休して三段目まで番付を下げてから、再十両、新入幕と復活を遂げた。師匠の境川親方(元小結両国)から「しっかりケガを治せ。番付は気にするな」と声をかけられたことが大きかったといい「そこでもう1回、大相撲の世界で戦える体を作ったから、ここまで現役をできたと思う」と振り返った。 三役を13場所務め、幕内在位は71場所。技能賞6回、金星6個を獲得した。思い出の一番は、初金星を獲得した13年初場所の白鵬戦。「本当に自分の良さが出て、ひるまずに相手にぶつかっていったいい相撲。うれしかったです」とうなずいた。 度重なるケガとの戦いにも心は折れなかった。「ケガには負けたくないという気持ちで、ケガした時の番付以上にしっかり体作りに取り組んで、元気な相撲もとれた。まさかこの年まで現役でできると思わなかったので、すごくうれしく思うし、幸せな土俵生活でした」と晴れやかに語った。今後は境川部屋付きの親方として後進を指導。「相撲にまっすぐな気持ちを持っている、ケガに負けない強い精神力を持った力士を作るような指導をしていきたい」と目標を掲げた。断髪式は来年を予定している。