「卒FIT」で風力発電が半減の危機って、本当ですか? 電力の「地産地消」実現のカギを握る「アグリゲーター」 キーパーソンに聞く「再エネ新時代」のあるべき姿
分散型システム構築のため事業者もチャレンジを
三宅氏のキャリアのスタートは関西電力の原子力部門で、原発の運転を担当した経験も。コンサルティング会社を経て2016年に入社したUPDATER(旧みんな電力)では、ブロックチェーン技術を活用して発電事業者の「顔が見える」再エネを販売するなど、型破りな取り組みで名をはせました。 政府は現在、日本のエネルギー政策の方向性を決める「第7次エネルギー基本計画」の議論を2024年度中の策定を目指して進めています。電力システム改革の経緯をつぶさに知る三宅氏は、日本が進もうとしている方向に懸念を示します。 「水素やアンモニアを混焼することで火力発電所を延命させたり、政府の方針に原子力発電所を『最大限活用する』と明記したりと、今あるシステムを温存する方向に資金を注ぎ込もうとしています。 もちろん再エネも推進しようとはしていますが、火力や原発中心の中央集権型の電力システムを維持しようとする限り、分散型のシステムである再エネとは競合してしまいます」 三宅氏自身、関西電力時代は中央集権型の発想しか持っていなかったといいます。だからこそ、再エネ事業者側からも新たなモデルの可能性を示していくことが大切だと強調します。 「電力を分散型のシステムに移行させるためには、海外の事例などから新しいことを学んで、日本で実現してやろうという人がもっと出てこないといけない。再エネが市場化されつつある今は、ちょうど良い転換期。これを機に、FIT時代とは違った再エネ普及の道筋を探っていきたいです」
朝日新聞社