お正月に使う祝い箸のタブー うっかりやっていると福を逃す? 知っておきたい3つの作法とは
お正月のおせち料理やお雑煮を食べる際に使う、丸みを帯びた箸を「祝い箸」と呼びます。地域によっては、箸の真ん中が太いことから「俵箸」、両端が細くなっていることから「両口箸」、またヤナギの木から作られていることから「柳箸」といわれます。使い方を知らないと新年早々、タブーを犯してしまい、せっかくのご利益を逃すことも。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに祝い箸の作法などについて伺いました。 【画像】元日に掃除をしてはいけない? 意外に知らないお正月のタブー ◇ ◇ ◇
祝い箸とは 使用前の大晦日にしておくこと
祝い箸は、いつも使っている箸に比べて長いもの。長さは、末広がりの「八」から縁起を担いで八寸(約24センチ)です。 ヤナギから作られていて、その理由は丈夫で折れにくいこと、また、春一番に芽吹くめでたい木で邪気を払うと考えられてきたこともあるようです。「家内喜(やなぎ)」にかけているという説もあり、五穀豊穣や子孫繁栄などの願いも込められています。 お正月に使う祝い箸ですが、大晦日に行う準備があります。家長が家族全員の名前を箸袋に書き、神棚に供える風習です。 来客用には「上」、取り分け用には「海山(うみやま)」や「組重(くみじゅう)」などと記すのが作法です。海山はおせち料理の海の幸や山の幸が、組重はおせち料理が重箱に詰められるようになったことが由来しているといわれています。 現代は、神棚がない家も多いと思います。もし風習にならうのであれば、鏡餅が飾ってある場所の近くに供えてみると良いでしょう。
祝い箸の押さえておきたい3つのお作法
夜が明け、元旦になったら、家族は自分の名前が書いてある祝い箸を使います。祝い箸を使うにあたって、昔から伝わる3つの作法を紹介しましょう。 ○使い捨てではない 祝い箸は使い捨てではなく、使い終わったら自分で洗い清めて箸袋に戻し、松の内(1月7日または15日頃)まで使い続けるのが作法とされてきました。 ○ひっくり返して使わない 祝い箸は、両端が細いのでどちらからでも使えるのですが、ひっくり返して両方を使うのはタブーです。どちらか片側のみを使って食べましょう。片側は自分、使っていない側は神様が使い、つながっているとされるからです。背景には、神様に供えた食事を人が食べることで、その力やご利益を得るという考えがあります。取り箸の代わりにうっかり両端を使ってしまうと、ご利益が薄れるかもしれません。 ○正月飾りと一緒に処分 使い終えた祝い箸は、1月15日の小正月に、正月飾りや書き初めなどを燃やす「左義長(どんど焼き)」という行事に持参して燃やすのが習わしです。難しい場合は、お住まいの地域の自治体ルールに従い、祝い箸をゴミとして出して問題ありません。白い紙で包んだり、ほかのゴミと袋を分けたりするなどの配慮をしても良いでしょう。
箸先は汚さず3センチほどを使うのがマナー
昔から、箸の使い方には「箸先五分、長くて一寸」との言い伝えがあります。一寸は約3センチ、五分は一寸の半分で約1.5センチの長さです。つまり、箸の先は1.5センチ~3センチを使うのが本来の使い方。箸は多くを汚さずに使うのが、和食のマナーです。 新年を祝う食事を運ぶために使う祝い箸だからこそ、古くからの作法や言い伝えを大切に、現代のライフスタイルに取り入れる工夫もしていきたいところです。栄養も福も逃さず、おいしく食べましょう。
Hint-Pot編集部