作家・蝉谷めぐ実「良い小説を書くためなら私は何でもする」 価値観が入り混じった江戸時代の歌舞伎が舞台、扇五郎に狂われた人たち
江戸歌舞伎の花形役者、今村扇五郎は〝つっころばし〟と呼ばれる和事の芸風で高い人気を得ている。その芸を極めるためには、まったく遠慮会釈なし、何でもやる。その扇五郎に無条件の献身を続ける女房、お栄をはじめとした周囲の人間は惑わされ、人生を狂わされてゆく。犬殺しからついには、若手役者の殺人の嫌疑まで掛けられてしまった扇五郎の真の狙いとは?
せみたに・めぐみ 1992年、大阪府出身、32歳。早稲田大学文学部卒。2020年『化け者心中』で小説野生時代新人賞を受賞し、作家デビュー。同作は日本歴史時代作家協会賞(新人賞)、中山義秀文学賞も受賞した。『おんなの女房』で野村胡堂文学賞、吉川英治文学新人賞を受賞。24年『万両役者の扇』で山田風太郎賞を受賞した。歴史・時代小説のジャンルで活躍中。
取 材・梓 勇 生/撮 影・相川直輝/レイアウト・加藤洋介