アメリカで双子や三つ子の出産が減っている理由とは?(シェリーめぐみ/ジャーナリスト)
【ニューヨークからお届けします】 アメリカでは過去25年間に三つ子の出産が激減しました。同じように双子や四つ子以上の多胎児の出産も減り続けています。その理由は体外受精技術の進歩です。 お腹の中に子供がいないと告げられ…歌手・姫乃樹リカさん「胞状奇胎」を振り返る 1980年代から90年代にかけて、アメリカでは多胎児の出産が頻繁にニュースになりました。「オクトママ(八つ子ちゃんのお母さん)」など、多胎児の出産と成長のドキュメンタリー番組なども頻繁に放送されました。しかし近年はこうした多胎児が話題になることはほとんどなくなっています。 CDC米国疾病予防管理センターによれば、アメリカでの三つ子の出産は1998年から2023年までに64%減少。四つ子やそれ以上の多胎児の出産数も80%近く減りました。また体外受精が始まってから増え続けていた双子も、2010年代以降緩やかに減少に転じています。 初期の体外受精では、母親の子宮に複数の胚を移植していました。少なくとも1つが妊娠につながる事を期待しての措置ですが、そのために双子や三つ子の出産も増加しました。しかし2000年代に入って体外受精技術が進歩すると、着床率も向上しました。 また一方で、多胎児の出産は早産などのリスクがあり、場合によっては発達障害の可能性も高まることがわかってきました。そこで複数の胚の移植を控える医師が増え、多胎児の出産も減ってきたというわけです。 CDCによれば、現在はアメリカの体外受精の8割で、単一の胚を移植しているとのことです。 ところで体外受精でなくても、双子を自然に妊娠する可能性は年齢とともに高くなります。つまり双子が増えたのは、女性の出産年齢の上昇にも関連しています。双子の出生率は減ってはいるものの、現在も1000件の出産のうち31件と、1980年代の1.5倍以上の高い水準をキープしています。 ちなみに双子を産んだ有名セレブとしては、ビヨンセ、ジェニファー・ロペス、アンジェリーナ・ジョリーなどが知られています。 (シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)