ニュースタイルで完全復活! 巨人・菅野智之が明かす制球力の秘訣は「とにかく内野ノックをたくさん受けること」【前編】
昨季は自己ワーストの4勝にとどまり、今季、完全復活に燃える菅野智之。今回、SNSを通じて親交のあった野球評論家&ピッチングデザイナーのお股ニキ氏との初対面が実現。前編である本記事では、各球種の仕上がり具合、コントロール向上のための練習法などを本音で語り明かす。 * * * ■昨季は「いつでも投げられる」と思っていたスライダーが曲がらなかった お股ニキ(以下、お股) もともとは巨人ファンで菅野投手の大ファンなので、直接お会いできて大変光栄です。菅野投手といえばスライダーが代名詞ですが、昨季はそのボールがよくなかったということで、このオフはトレーニングを重ねたそうですね。 菅野 はい。「スライダーはいつでも投げられる」という感覚が自分の中にあったんですけど、去年は思うように曲がらなくなってしまって。曲がる日もあるけど、強度が弱いというか。 僕、変化球で大事にしているのが強度なんですよ。いくら大きく変化するスライダーでも曲がりがゆるかったら意味がないので。去年はシンプルに回転数や回転効率も悪かったですしね。いろいろと試行錯誤もしたんですけど、どうにもならかったシーズンでした。 お股 菅野投手はスイーパーのような横滑りのスライダーも、斜めに落ちるスラッターも、カットボールも得意ですが、昨季は変化量自体もいい時と比べると小さくなっていました。 昨季開幕前の右肘の張りも影響していたのでしょうか? スライダーはどうしても肘をひねるように投げるボールなので、腕を振りきるのが怖かったりもしましたか? 菅野 不安な部分もあったと思います。シーズン後半にかけて痛みはなくなっていったんですけど、もしかしたら頭のどこかで、反射的にブレーキをかけていたのかもしれないですね。 お股 今はその不安はなくなりましたか? 菅野 今はほとんどないです。どの球種も回転数が戻ってきましたし、試合を重ねていけば、元の状態になっていくと思います。 お股 そういえば、菅野投手はスライダーに限らず、投げる上で握力を鍛えていると昔から語っていますが、具体的にはどのようなトレーニングをしているんですか? 菅野 昔から変わらないんですが、スライダーの握りでボールを強くつかむ練習ですね。野球選手ってウエイトトレーニングをする時、たとえばデッドリフトなら手首にバンドを付ける人も多いけど、僕は補助的なものをあまり付けたくないんです。バーを持つにしても、しっかりと手の感覚を意識してつかみます。 お股 ちなみに、スライダーはどんな感覚で投げますか? 菅野 いい時は手を引くイメージがあるんです。押したり、曲げたりではなく、引く感覚。そうやって投げるとボールが指先に引っかかって、いい回転になるんです。だからこそ、握る力にフォーカスしているんですよね。