米MMFへの大量資金流入、FRB利下げでも途切れず
(ブルームバーグ): 今年は米国のマネー・マーケットから多額の資金が流出する年になるはずだった。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局の利下げと、それを受けた株価や債券相場の上昇の見通しを踏まえれば、投資家が一斉にマネー・マーケット・ファンド(MMF)から資金を引き揚げるような要素が全てそろっていると、ウォール街では予想されていた。
しかしそれは大外れだった。利下げが実施され、株価が急上昇する一方で、企業や家計はマネー・ファンドに資金を投入し続け、マネー・ファンドの運用資産総額は今週、史上初めて7兆ドルを突破した。
米財務省短期証券(Tビル)やその他の短期金融商品を購入するマネー・ファンドへの絶え間ない資金流入は、今世紀に入ってゼロ%近い金利に慣れ親しんできた投資家層にとって、5%を上回る金利がいかに魅力的であったかを浮き彫りにしている。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジの下限が4.5%に引き下げられた現在でも、MMFはほぼリスクゼロの安定した収益を生み出しており、多くの家計を補強し、利上げが経済の他の部分に与えたダメージをある程度相殺しつつある。そして、米金融当局がそれほど追加利下げを行わないかもしれないとの兆候が強まっていることから、ウォール街の多くの人々は、米国民人がすぐにキャッシュ選好から脱却することはないだろうと予測している。
インベスコの最高投資責任者(CIO)兼グローバル流動性担当責任者、ローリー・ブリニャック氏は「機関投資家でも個人投資家でも、何がMMF離れを招くのか考えにくい」と指摘。「米金融当局が利下げに踏み切れば、資金が一気に流出すると人々は考えていた」と振り返った。
原題:Fed Cuts Powerless to Stop Historic Rush Into Money-Market Funds(抜粋)
--取材協力:Claire Ballentine.
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Alex Harris