メタンガスの大量排出者を特定する衛星がお仕事開始
散らかしたら片付けないとね。 2024年3月4日、世界中の油井やガス井から排出されるメタンを追跡する新型衛星が打ち上げられました。温室効果ガスの大量排出者を特定し、削減に取り組む義務を果たしてもらおうという期待と一緒に。
高解像度で超低濃度のメタンを検出
SpaceXのFalcon 9ロケットに搭載され、他の衛星と共に飛び立ったMethaneSATは、アメリカのテキサス州、ナイジェリアやロシアなど、世界の石油・ガス生産量の80%を占める300カ所をターゲットにメタン排出・漏えい源を特定するために開発されました。 国際的非営利団体のEnvironmental Defense Fund(EDF|環境防衛基金)がニュージーランド宇宙局と共同開発したMethaneSATは、従来の衛星では不可能だった大量排出源の特定を目的としています。 大気中のメタン濃度を測定するのは比較的簡単なのに、排出源を正確に追跡するのは難しいんだそうです。人間の目と鼻では不可能な無色無臭のメタンを追跡できるとは、さすがです。 1日に地球を15周するMethaneSATは、3ppb(10億分の3)という超低濃度のメタンを検出し、発生源と変化量を測定します。現在地球を周回しているほとんどの衛星よりも解像度が高いため、広範囲にわたって微量の漏えいも逃さず正確に追跡できるのだとか。
一般公開されるデータで大量排出者の責任追及が可能に
MethaneSATの秀でた特徴のひとつとして、公式サイトとGoogle Earthを通じてデータが一般公開され、石油・ガス業界の最大排出者を追跡するためのインタラクティブマップを閲覧できる点が挙げられます。 国連気候変動対策特使のマイケル・ブルームバーグ氏は、電子メールで以下の声明を発表しています。 衛星からのデータは、メタン排出量をより正確に測定し、発生源の特定に一役買い、透明性を高め、企業や投資家が対策を講じるために必要な情報を提供し、一般市民は汚染者の責任を追及できるようになるでしょう。