チャンピオンとN.HOOLYWOOD、New Manualのトリプルコラボ誕生。尾花大輔と藤原裕がスウェットにはロマンがあると断言する
チャンピオンが保有する初期のスウェットを、N.HOOLYWOODの尾花大輔とNew Manualの藤原裕が現代の解釈で理想のスウェットに仕立てた。なぜこの形なのか。その意図を解きほぐす。 【写真を見る】それぞれのプライスとディテールをチェック!
リバースウィーブ®が新たな歴史を刻む
チャンピオンとN.HOOLYWOOD、New Manualの3社がタッグを組んだコラボレーションが発売される。リリース日は2月28日(水)で、伊勢丹新宿新宿店メンズ館6階で開催されるポップアップイベント「NEW WEAVE after 30years」のみの展開だ。2型あり、どちらも数量限定。知己の仲であり、古着界隈の先輩・後輩でもあるN.HOOLYWOODの尾花大輔と、New Manualの藤原裕が今回のスペシャルアイテムについて語る──。 N.HOOLYWOODでは、Champion REVERSE WEAVE®を新たな解釈で実験的に再構築し、デザインしたNEW WEAVE(ニューウィーブ)というコレクションを2022年にローンチして以降、定期的にコレクションを発表してきた。そしてNew Manualも2022年にスタート。浅からぬ縁を感じる。 藤原裕(以下、藤原) New Manualのファーストエキシビションは、Mister hollywood内の一部をお借りして開催しました。ブランドをはじめたばかりだったので、相談したりといろいろとアドバイスをいただきました。先パイ! その節はありがとうございました! 尾花大輔(以下、尾花) そんなそんな。New Manualは、(藤原)裕くんが集めてきたヴィンテージコレクションをもとに、今の感覚で表現したアイテムをリリースするブランドだよね。もし一緒に何か作るなら現代的なデザインの魅力とヴィンテージへの愛情を備えたプロダクトでないといけないと思っていたので、NEW WEAVEとの組み合わせはマッチしていると感じました。 藤原 尾花さんの貴重なスウェット(現在はChampion社が保有)をサンプルとして使うと聞いたときは、実物を見てみたいという好奇心と、30年代製のスウェットが尾花さんのフィルターを通すことでどのように生まれ変わるのか楽しみで、わくわくしました。ちなみに尾花さんの中でREVERSE WEAVE®ってどんな存在ですか? 尾花 常に気になる存在かな。自分が古着屋に勤務していた10~20代の頃に人気だったのは両V(註1)や雪柄(註2)などのヴィテージスウェットで、REVERSE WEAVE®は見向きもされなくて。その理由は当時のサイズ感のトレンドがタイトめだったのに対し、REVERSE WEAVE®は身幅が広くて大きかったから。デザイン性でいうと、パネルデザインやサイドステッチなど、優れたディテールが一着の中に凝縮されているから、ファッションアイテムとして実は魅力的。コレクターではありませんが、古着屋から離れてもREVERSE WEAVE®はチェックしていましたね。 藤原 尾花さんのREVERSE WEAVE®に対する知識と愛情は、本当に半端ないです。今回、コラボコレクションを制作するにあたって、まず尾花さんが過去にデザインしたクルーネックとフーディから2種類セレクトし、デニムの加工と同じテンションで、ブラックスウェットでヴィンテージ加工をしました。上がってきたサンプルを見たときは、あまりのかっこよさに冗談抜きで震えました。また、繊細なステッチや着用時のシルエットの美しさは、尾花さんだからこその魅力だと思っています。個人的には10年、20年経ったときに、ヴィンテージのように価値がある、そんなアイテムになると確信しています。 尾花 新たなヴィンテージの創造は意識していることなので、裕くんのその言葉は心に染みます。これまでNEW WEAVEは、スウェットの新たなフォルムを生むべく立体裁断で作っていて、今回のアイテムも切り替えの位置を微妙に調整しています。着用時のシルエットは適度にルーズ感がある現代のシルエットにしました。ディテールを説明すると、フーディは後付け(註3)、クルーネックではサンプルからインスパイアされた両Vにし、往年のファンを泣かすヴィンテージディテールにこだわった作りになっています。ちなみに、裕くんはどう着るの? やっぱりデニムかな? 藤原 New Manualのデニムパンツはもちろん、ヴィンテージデニムとも合わせたいですね。もし今回スウェットパンツもあったらセットアップもいいなぁって思ってました。シルエット、色の風合いから、きれいめのパンツと合わせたり、ブラックジーンズなんかと合わせるのもいいですね。 右端がサンプルで、ほかブラックの2着が今回のコレクション。サンプルは当時の「L」だが、今回のコラボアイテムは肩の落ち具合などからもわかる通り、大きめに作られている。 ■NEW WEAVE after 30years 会期:2024年2月28日(水)~3月5日(木) 会場:伊勢丹新宿店メンズ館6階 メンズコンテンポラリー TEL:03-3352-1111 住:東京都新宿区新宿3-14-1 註1:汗止め用のマチ、ガセットが首周り前後に配置されたディテールを指す。50年代までのスウェットにあったディテール。 註2:首周りを起点に、放射状の模様がプリントされたもの。雪の結晶のようなパターンの組み合わせから、通称“雪柄”と呼ばれる。60年代まで存在していた。 註3:スウェットが登場しはじめた頃は縫製技術や生産背景から、フーディのフードはボディと一緒に縫うことができなかった。セパレートされたフード部分を、後からつけていることから“後付け”と呼ばれる。60年代初頭まで存在していたディテール。
文・オオサワ系 写真・山田陽 編集・岩田桂視(GQ)