「何か行動を起こさなければ、雪がなくなる未来になってしまう」スポーツ界が使い捨てプラごみ削減に向けて立ち上がるワケ
環境問題の入り口としてのプラスチックごみ削減プロジェクト
なぜ使い捨てプラスチックごみの削減に絞ったプロジェクトにしたのか。入り口として入りやすいからだという。 「海洋汚染、気候変動のどちらも対処でき、具体的に何かアクションを起こす上でプラスチック削減は効果的。まだこの問題に目を向けていない方々にとっても、身近にある使い捨てプラスチックをなくすところから入って、もっと大きな課題にどんどん取り組んでいける」 そこへアスリートたちが声を上げて活動することで、さらに人々の関心が向きやすくなる。 「アスリートは環境問題、気候問題と密接に関わっている。冬のスポーツは今死活問題。夏のスポーツでも、猛暑、台風、洪水の影響を受けている。自分がスポーツをできるかできないだけではなく、地球環境を救うために声を合わせていかなければいけない。そう思っているアスリートは多い。アスリートの皆で学び合って、一緒に声をあげることで大きな効果を出せるのではないか」 「HEROs PLEDGE」の掲げる「2027年度末までに主要スポーツの興行における使い捨てプラごみの半減を目標」について、記者から実現性を問われると、井本さんは「非常に厳しいが、HEROsのチームで何度も確認し、多くの指標から一番大きな目標を掲げた」と説明した。 まずは主要スポーツの大会やリーグに絞って、どれくらいの観客が来て、どれくらいのゴミが出て、そのゴミの種類やどうやって減らせていくかなど調べていき、競技連盟やリーグ統括団体などにルールを設けることを働きかけていく。
環境問題を肌身で感じるアスリートたち
この日出席した現役・元アスリートたちは、過去に自分の肌で感じた環境問題について具体例を上げた。 女子フリースタイルスキー・モーグルの日本代表として五輪3大会に出場した伊藤みきさん(36歳)は、温暖化の影響を実感させられた。 「現役の2015年頃、毎年スイスのツェルマットに遠征に行っていたが、そこの氷河がどんどん何メートルとなくなっていく姿を目の当たりにした。何か行動を起こさなければ、雪がなくなる未来になってしまう危惧は常に持っていた」 実際スキー競技は近年、雪不足による大会中止がたびたび発生している。 また、トライアスロンの日本代表としてリオ五輪に出場した加藤友⾥恵さんは、自身への影響を通じて気づかされた。 「2016年頃、海を泳いでいたらいきなり湿疹ができるようになった。1年ぐらい病院に行ったものの原因不明。最終的に、小さいプランクトンだったり、海洋汚染が問題なんじゃないかと告げられた。その時に初めて、環境問題について自分自身が目の当たりにした。(引退してから)地元の千葉県銚子市でライフセーバーの方やイルカウォッチングのレジャーの方と共に、少しですが、市民向けに環境問題について考える取り組みをしている」