なぜ韓国の大統領は「汚職→失脚」を繰り返すのか…日本では考えられない「縁故がモノを言う」腐敗の構造問題
■夫人経由で政治ブローカーが国政に介入? 尹氏の検察時代の部下で、側近中の側近といわれた韓東勲(ハン・ドンフン)氏(国民の力の代表)は、大統領夫人の活動中止を求めるなど尹氏を批判した。尹氏は、信頼していた韓氏に裏切られた格好だ。それに加えて、尹氏の最大のライバルである、野党“共に民主党”の李在明(イ・ジェミョン)党首なども尹氏への批判を強めた。尹氏にとって、政権を維持することが難しくなりつつあった。 もう一つ無視できないのは、金建希夫人のスキャンダル噴出だ。直近では、金夫人にミョン・テギュン氏という質の悪い政治ブローカーがついて、金銭の贈賄などがあったとの観測が高まった。夫人が政治ブローカーを使って、国政に介入していたとの疑惑が浮上し、大統領支持率低下は鮮明化した。 一部の報道では、尹氏がミョン氏から世論調査の結果を受領し、選挙の公認作業介入を許した疑いもあるようだ。大統領当選直後、尹氏がミョン氏から連絡を受けたとの報道もあった。 ■夫人一族へ経済的便宜を図った疑いも これらの要素が重なり、尹氏は窮地に追い込まれた。そうした状況の逆転を狙い、3日夜に尹大統領は突如、非常戒厳を発表した。洪壮源(ホン・チャンウォン)国家情報院第1次長は非常戒厳の発表直後、大統領が「この機会にすべて捕まえて整理せよ」と指示し韓東勲氏、李在明氏ら主要政治家12人ほどの拘束を試みたと明らかにした。野党党首のスキャンダルを暴く目的もあったといわれている。 金夫人については、政治ブローカーとの癒着以外にも疑惑がある。株価操作、賄賂授受、高速道路の建設路線変更による金銭取得などだ。高速道路建設に関しては、尹政権が当初の計画と異なる終着点を設定したことが疑惑の発端になったという。新たな終着点の周辺に、金夫人の母親である崔殷淳(チェ・ウンソン)氏ら親族が保有する土地の存在が明らかになった。大統領が夫人の一族に経済的便宜を図ったとの批判は増えた。