BYDシール 詳細データテスト 低速の快適性は要改善 高速域の長距離移動は快適 ハンドリング良好
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
乗り心地は、いいところも悪いところもまぜこぜ、といった感じだ。市街地ではぎこちないが、速度が上がれば落ち着き、とはいえステアリングホイールの振動が消えることはない。 それも、ある程度は慣れるだろう。その助けになるのが、じつに快適なシートだ。ファンシーさはないが、ヒーターもベンチレーターも標準装備で、調整幅が広く、当たりはソフトだがサポート性は高い。長距離ドライブするには実にいいシートだ。 ドライビングポジションは、テスラ・モデル3やポールスター2に近い。言い換えるなら、ICE搭載の高級サルーンのように特別低くはないが、それでもスポーティなセダンだと感じさせるには十分低く、背の高いドライバーも頭上が気にはならない。 着座姿勢は脚を伸ばしたクラシックなポイションで、ステアリングコラムの調整量もなかなか。ただし、メモリー機構の類はそれほど期待しないでほしい、関連メニューにたどり着けたら、一旦リセットすることをおすすめする。 遮音性はクラス標準くらいで、新たな基準を打ち立てるまでには至らなかった。113km/hで68dBAだと、ヒョンデ・アイオニック6に1dBA及ばない。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
シングルモーターのシール・デザイン、お値段4万5695ポンド(約859万円)から。有償色のシャドーグリーンとインディゴグレーは876ポンド(約16万円)で、そのほかは標準色。それ以外にオプションなし。なお、デュアルモーターのシール・エクセレンスは48695ポンド(約915万円)と、3000ポンド(約56万円)高いのみだ。 BYDはなにも、自社を安売りブランドと規定しているわけではない。同じような装備内容ならポールスター2スタンダードレンジやヒョンデ・アイオニック6より安価だが、その差はわずかだ。安さにかけては、テスラ・モデル3が大きく抜きん出ている。 BYDの強みは、ほとんどのライバルよりkんだいな保証だ。最大6年もしくは15万kmで、駆動系とバッテリーは+2年となり合計20万kmまでカバーする。 気になるのは経済性や急速充電性能だ。電費表示は、通算値と残り80kmを示すもののみしかも、この80kmが正確ではない。。リセットしてから計測してみると、80km到達前に電力が尽きるのだ。逆ならまだよかったのだが。 ディスプレイの表示要素が選べないのも、また問題。センター画面はkWh/100km、メーターはkWh/100マイル、と電費の単位が異なっていて、これは変更できない。細かいようだが、意外と不便だ。 電費そのものは、普通に使って5.5km/kWhで、このクラスではそこそこだが、テスラには負ける。計算上、航続距離は449kmとなるが、LFPバッテリー搭載車なので、フル充電しても性能持続性に悪影響はない。アダプティブモードでさえ、航続距離計は楽観的すぎる数字を示す。 急速充電性能はきわめて低いが、テスト日が非常に寒い冬だったことの影響は否定できない。数値で言えば、150kWという公称最高値がすでに、アイオニック6の233kWやモデル3の170kWを下回っている。 しかも、実際に操作すると135kW以上をみることができなかった。これは異なる2台の350kW充電器を使って得られた結果だ。どちらの場合も、50%チャージ付近で充電速度が劇的に落ちるのだが、プラグを抜いて再度チャージすると数値がまた跳ね上がる。 全体を通せば、メーターパネルもバッテリーがウォーミングアップ中だったことを教えるメッセージを表示していた。もっと簡単に使えるバッテリーコンディションの準備機能があれば、そのメリットは大きいはずだ。