「ケイト」「トーテム」 実力派NYブランドに学ぶ “黒”の軽やかでセンシュアルな着こなし【2025年春夏NYコレクション番外編 Vol.1】
ニューヨーク・ファッション・ウイーク(以下、NYコレ)が9月6~11日にかけて開催された。今回は「コーチ(COACH)」「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「トリー バーチ(TORY BURCH)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」といった重鎮の面々に加え、久々の凱旋ショーを行った「アライア(ALAIA)」やストリートの雄「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」が参戦するなどトピックスも満載だった。ここでは取材のこぼれ話(ときには関係ないハナシ)をニューヨーク初滞在の記者が振り返り形式でお届けする。
今春夏のファッション・ウイークでは、ニューヨーク発クワイエット・ラグジュアリーの代名詞「ザ・ロウ(THE ROW)」の影響が他のNYブランドにも確実に波及していることを感じさせた。特に印象に残ったのが、「ケイト(KHAITE)」「トーテム(TOTEME)」の2ブランド。モノトーンを基調に抑制の利いた美しさを提案する中で、「黒」の使い方のうまさが目を引いた。
黒は通年使える定番色ではあるものの、特に春夏はコーディネートの仕方によっては重たさが気になってしまうこともある。その点、彼らが使う黒は、白よりも軽やかでセンシュアルにすら見えてくる。計算された肌見せやレイヤード、差し色の工夫などは、日本のリアルクローズブランドにも大いに参考になる部分がありそうだ。
CFDAアワード2年連続受賞「ケイト」
トップス巻きやシアー素材の妙
ニューヨーク・ファッション・ウィークではショーの席が争奪戦の「ケイト」。デザイナーのキャサリン・ホルスタイン(Catherine Holstein)は、アメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA)が実施する「CFDAアワード(CFDA Awards)」のウィメンズウエア・デザイナー部門で、2022、23年と2年連続受賞している実力派だ。価格もハイエンド(春夏のトップスで日本価格20万円弱、コートで同50万円弱)でクリエイションの抽象度もなかなか高く、リアルクローズとしては少々デコラティブすぎるものもあるが、アプローチの方向性は参考になるはず。