自衛隊危機管理教官に聞いた「死なないための基礎知識」。水よりも大事なものって?
●2:飲み水を確保する
<浄水を得る> 体温を確保できたら、次は飲料水を手に入れます。サバイバルでは「水にあたることは死を意味する」ともいわれるくらい。あやしいと思ったら煮沸や薬品などで浄水処理を行いないましょう。
●3:火を確保する
<焚き火> 火は3番目になっていますが、たとえば飲み水を煮沸消毒しなければならない場合などは早急に必要です。「食」の猶予が3週間あるので、ここまでの要素を確保できればひとまず安心。
発災時の「行動」基準
“生きる法則”として覚えておいてほしいのが、アメリカのアウトドアの世界で用いられている緊急時行動指針のひとつ「STOP」です。川口さんによると、この「STOP」の指針があれば、いざというときにパニックに陥る可能性も少なくなるのだとか。 「STOP」のアルファベットは、それぞれStop(動きを止める)、Think(考える)、Observe(観察する)、Plan(計画する)の頭文字を取ったものです。
●1:Stop(動きを止める)
脅威が目の前で発生したとき、大切なのはまず止まること。多くの場合パニックに陥り、訳がわからないまま行動してしまいますが、ここで動きを止められるか否かが生死を分ける最初の分かれ道だといわれています。
●2:Think(考える)
頭の中にさまざまな考えが浮かび、パニックになりそうになるのを自分でコントロールします。Thinkは考えるという意味ですが、川口さんはあえて「考えてしまうことをやめる」というように解釈をしているそうです。
●3:Observe(観察する)
考えることをコントロールし、頭と体が止まった状態になると、感覚が働き始めて周囲の状況を思い込みなしに、より正しく観察することができます。それによって、次の計画の正確性も高まってきますよ。
●4:Plan(計画する)
今、自分が生き残るためになにをすべきか、自分が置かれている状況を見極めて計画を立て、行動に移す。できるだけ小さい危険、少ない労力で生き残るためにはどうするべきなのかが重要です。この計画が自分や家族の命運を握っていますよ。
発災時は「STOP」で乗りきる!
「STOP」は、できることが極めて少ない発災時にも役立ってくれます。 なにかしらの脅威を感じたら、まず止まり、行動を止めたら次に思考のコントロールを取り戻しニュートラルに。そうすることで、周りの状況がより見えやすくなります。落ち着いた体と心で状況を把握すれば、次にするべき行動が自然と見えてくるかもしれません。 また、なにか起きたときに思考が停止して動けなくなってしまう「カウンターパニック」という症状があります。この状態から抜け出すのはとても難しいそう。 しかし、その動けなくなる症状を逆手に取るのも手です。もし自分がカウンターパニックに陥っていると感じたら、むしろその状態を利用して、止まったままで周囲の状況を観察してみましょう。じつは、人はなにも考えていないときほど感覚が豊かになるので、より正確に状況を把握できますよ。
ESSEonline編集部