【J1昇格PO】仙台J1昇格ならず「天下一品」の守備崩せず「力はまだ足りなかった」森山監督
<J1昇格プレーオフ:岡山2-0仙台>◇決勝◇7日◇Cスタ あと1勝が遠く、涙の幕切れとなった。4季ぶりのJ1復帰を目指した6位ベガルタ仙台が、5位ファジアーノ岡山に0-2の完敗を喫した。前半20分に先制点を許すと、後半16分にもダメ押し点を献上。順位の優位性を保つために勝利が絶対条件の仙台だったが、岡山の堅守の前に無得点に終わった。就任1年目の森山佳郎監督(57)は敗戦の悔しさとともに、来季J1昇格への思いを語った。 ◇ ◇ ◇ 初のJ1昇格に湧く岡山サポーターの歓声にも負けない、ベガルタコールが巻き起こった。1200人を超える仙台サポーターがスタジアム一角をゴールドに染めた。チケットは販売開始1時間で完売も、チケットを入手できなかったサポーターらも岡山へ駆けつけて、スタジアムの外から見守った。森山監督は「1人1人の熱量は絶対に日本一だと思います。これまで何度もサポーターの声で踏ん張れた、勝ち点稼げた試合が多かったので本当に感謝しています」と口にした。 「守らせたら天下一品」と森山監督が評すほど、岡山の守備は堅い。相手の2倍以上のセットプレーを獲得。ボール保持率やシュート数も上回り、再三好機をつくったが、最後までネットを揺らすことはできなかった。それでも、今季から指揮を執る森山監督はJリーグ初采配。就任当初のチームはどん底だった。昨季は監督の途中解任などもあり、12勝12分け18敗で16位に沈んだ。J1昇格どころか、プレーオフ圏内も程遠かったチームを立て直し、プレーオフ決勝まで導いた。 来季も続投が決まっている森山監督が目指すのは、真の強いチーム。「J1に上がる力はまだまだ足りなかった。しっかり地力をつけて、上がった時にはJ1で上っていけるようなチームを作っていきたいと思います」。ゴール地点はJ1昇格ではなく、その先にあるJ1で戦えるチーム。 今季は、キャンプで徹底的に鍛えたフィジカル面や守備面で好感触を得た。「守備やハードワークのベースはかなりできてきたので、来年はここをベースに攻撃の構築。特に局面のところの質や強度を上げたいです」とさらなるレベルアップを目指す。 敗戦を告げるホイッスルの瞬間から来季の戦いがスタートした。もう決して悔し涙は流さない。この敗戦を胸に刻み、さらに強くなったチームでJ1へ返り咲き、そこで満開の花を咲かせる。【木村有優】 ○…声をかけ続けるサポーターの前で、仙台MF郷家友太(25)はこみ上げる涙を抑えられなかった。「見えない人たちの思いもしっかり僕たちの元に届いていた」。スタジアムの一角を1200人超のサポーターがベガルタゴールドに染め上げ、スタジアムの外や仙台でのパブリックビューイングからも力強い応援が響いた。だからこそ「サッカー人生の中で一番悔しい。この悔しさは1秒たりとも忘れちゃいけない」。次こそ、J1に戻ってみせる。 ○…仙台MF工藤蒼生(24)は「悔し涙をうれし涙に変える」と力強く語った。宮城県出身で、仙台アカデミー出身。1年目の昨季はフィールドプレーヤーで唯一、リーグ戦の出場がなかった。今季は開幕スタメンをつかみ、途中けがによる離脱はあったが、25試合出場で、プロ初ゴールも挙げた。「今年1年は自分としても成長できましたが、まだある課題を来年のキャンプから突き詰めていきたいです」と前を向いた。