バーニーズ ニューヨークがリブランディング ラオックス買収でどう変わった?
高級セレクトショップ「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」が、オリジナルライン「バーニーズ ニューヨーク」のリブランディングを進めている。2025年春夏シーズンから、メンズ・ウィメンズ双方においてシフトチェンジするが、どういった点が変わるのか。同ラインでディレクターを務める青山通法氏に聞いた。 【画像】バーニーズニューヨーク 2025年春夏コレクション
「バーニーズ ニューヨーク」を日本で展開するバーニーズジャパンは、1989年に伊勢丹(現 三越伊勢丹ホールディングス)が米国バーニーズからマスターライセンスを受け、完全子会社として設立。翌年に日本1号店を新宿にオープンした(※2021年2月末に営業を終了)。伊勢丹は事業再編に伴い、2006年6月に住友商事と東京海上キャピタルにバーニーズジャパンの株式を譲渡。その後、セブン&アイ・ホールディングスが、東京海上グループのファンドおよび住友商事から全株式を取得し、2015年2月に完全子会社化した。バーニーズジャパンは、2021年2月期に赤字転落してから3期連続で営業損失を計上。セブン&アイ・ホールディングスは当初、バーニーズ ニューヨーク事業継続の方針を示していたが、一転してラオックスホールディングスが全株式を引き受け、2023年5月に完全子会社化した。 親会社となったラオックスHDは、体制変更のタイミングでバーニーズジャパンに対して「これまでの体制を見直し、チャレンジングな事業方針に転換すること」を要望。幅広い客層に商品を届けられるよう協議を重ね、2025年春夏シーズンでのリブランディングに漕ぎつけた。同社の青山ディレクターは「セブン&アイ・ホールディングス傘下の時は制約が多くできないこともあった。今は会社が同じ方向を向いてスピード感をもって取り組めている」と話す。 今回のリブランディングでは、より若い客層にリーチできるようクリエイションの方向性を変えていく。これまでバーニーズ ニューヨークのメインターゲットは30代後半から50代。実売層は更に高く、40代から60代だった。従来のクラシックなイメージは残しつつ、コンテンポラリーなムードを追加したアイテムを増やすことで、メインの客層を20代から30代に変えていく考えだ。「世の中の働き方が変わったことで、オフィスで着られるかっちりした服の需要は下がっている。未来に向けて若年層へのリーチが必要であることも踏まえ、方向性を決定した」と青山ディレクター。 ターゲット層をこれまでより若く設定したが、価格帯に関しては基本的に据え置く。現在のオリジナルラインの価格帯は、アウターで10万円前後、シャツで3万円前後、パンツで3万円前後。国内の一般的なデザイナーズブランドと同程度、もしくはややロープライスでラインナップしている。価格を据え置く理由として青山ディレクターは「30代で、1ヶ月あたり服に平均3万円以上使う人はかなり多い。価格を下げるより、クオリティを維持してアイテムへの信頼を勝ち取ることが優先」と語る。 一方で、一般的に30代と比べて金銭的に余裕がない20代に対しては、価格を抑えた「エントリーライン」を2025年春夏シーズンから展開。オリジナルラインの中でも価格差をつけることで、幅広い層の取り込みを狙う。 2025年春夏シーズンのテーマは「エンパワー ユアセルフ」。バーニーズ ニューヨークのオリジナルラインとして初めてデニムを提案するなど、現代のムードにマッチしたアイテムを揃える。「これまでは『人に見られる服』だったが、これからは『自分のために着る服』をお客様に届けていく」(青山ディレクター)。 今後の目標としては「セレクトしたもののついでではなく、バーニーズ ニューヨークのアイテムを目掛けて来店してくれるお客様を増やすこと」を掲げる。2025年の秋には、ランウェイショーまたはインスタレーションなど、実際にアイテムを着用して顧客に披露する機会を設け、更なる支持拡大に繋げたいとしている。