実はいま中国に帰国する「在日中国人」が増えている…日本に長く住む中国人が抱える「意外な悩み」
中国に帰る在日中国人が増えてきた
中国政府の締め付けや政治リスク、社会不安などの理由で、中国から日本に逃げ出してくる人々が後を絶たない。私はこの問題についていち早く探るべく、2022年後半から取材してきた。 【衝撃写真】中国人が「路上排便」する瞬間 日本では昨年ごろから富裕層が日本に「潤」(ルン=移住、移民などの隠語)してくることがメディアを賑わせるようになったが、知人の行政書士によれば、それは富裕層だけにとどまらず、すでに中間層の会社員や公務員などにまで広がってきており、中国から逃げ出す人が次から次へと増加。 そのため、入国管理局の手続きに、数カ月単位の時間がかかっていて、問い合わせも非常に多いという。 この問題は私も引き続きウォッチしているが、最近では、それとは逆のパターン、日本に長年住んだ中国人が、中国に本格帰国するケースも取材してきた。以前、紹介した『じつはいま「日本から帰国を望む中国人」が増えている…中国人“労働者層”が「いまの日本」に抱く「驚愕の感想』などの記事がそれだ。 同記事では、日本滞在30年以上のマッサージ師が、マッサージ店を畳み、黒竜江省にある故郷に帰る決断をしたという話を紹介した。日本で仕事をしていても、マッサージ店に来る顧客は高齢化していて、市場が小さくなっているし、日本語もあまりできないので、日本に対する未練もない。 離婚しており、異国の日本での暮らしがわびしいが、中国の地方都市にはまだ多少は発展の余地があると考えて、思い切って帰国を決めたのだと語っていた。30代から60代まで日本に住んだのに、日本で友人と呼べる人はほぼなく、日本社会についてもほとんど知らないまま中国に帰るという話に、私は一抹の寂しさを覚えた。 だが、最近、このようなブルーカラーの中国人とはかなり経歴が異なる、あるエリート中国人と話す機会があった。昨年、都内のある大手企業を定年退職したばかりのこの男性は、1年に3~4回のペースで中国に帰国するようになり、改めて、故郷のよさを感じるようになったという。 もしかしたら、いずれ、中国に本格帰国するかもしれないともいう。その生き生きとした話しぶりに、改めて、中国人にとっての母国、故郷とは何なのかを考えさせられた。