「出来ない自分が悪いんだ」「自分は結局こういう性格なんだ」生きづらさを感じていたミュージシャン・4s4ki(アサキ)がADHDと診断されて気づいた“よかったこと”
落ち込みからの回復法がわかるようになった
――自分の対処法が分かってきた? 4s4ki はい。正直、いまもパニック発作が起きることはあるし、戦っている最中ではあるんですけど、最近はパニックになったことで気持ちが落ち込んだ時の対処法も徐々に分かってきて。それは、何もしないこと。そこで無理に行動してしまうと、かえって悪い衝動が出てきちゃうんです。 だから、パニックになったあとは、とにかく自分のしたいことだけをすると決めておくと、いち早くダウナーから抜け出せるんです。で、やりたいことすら何もないほどダウナーなときは、本当に何もせず、ただただベッドで横になっている。携帯がいっぱい鳴っても見ない。そうすると、落ち込みからの回復が早くなってきました。 あと、ADHDという自分の精神疾患を、今日のインタビューみたいに結構人に話すようになりました。友だちにも話せるようになったし、自分の公式SNSでも公表したし。ダウナーのままで引き籠もる時間が長期化すると、それはそれで良くないので、「30分でいいから散歩しようよ」とか、「いまから家に行ってもいい? ご飯買って行くから一緒に食べよ?」と声をかけてくれる友だちや知人が周りに増えて、回復も早くなって。 お仕事の面でも、スタッフにADHDだと知ってもらえたことで、お任せしたほうがいいことはお任せできるようになったし、音楽活動を再開するまでのプロセスを一緒に頑張れたという絆も感じていて。お仕事の関係者の皆さんもとても理解をしてくださって。本当、周りの人からの支えはかなり大きいですね。
診断はショックでも「疾患との付き合い方に気づける」ことが大事
――つまり、生き易さ/生き辛さで言うと、かなり生き易くなった? 4s4ki まさにそうですね。ADHDをはじめ、大人の発達障害というのはそもそも見つけることが大変らしいんです。長い間、「自分は結局こういう性格なんだ」とか、「出来ない自分が悪いんだ」と思い込んでしまっているせいで、逆に鬱病になってしまったりもするし。私のように違うきっかけで病院に行って、初めてちゃんと疾患が見つかる人も少なくないそうなんです。 私も大人になってから診断されたので、もっと早くADHDだと分かっていれば、いろいろな精神疾患や失敗も未然に防げたのかな? と思うこともありますが、私自身も周りの人も、そんなのすぐに気付ける術もなかったし、仕方が無かったと思うんです。逆に言えば、大人になってからでも気づけて、いまは本当によかったと思っています。 疾患を診断されることって、やっぱりショックではあるんですけど、診断される恐怖よりも、気付けた時の解放された感覚や疾患との付き合い方に気付けるほうがはるかに有意義だし、人生が圧倒的に楽しくなる気がします。いろんなことが良い方向に変わる気がするし、やれることもすごく増えるし。事務所やレーベルや周囲の人にはすごく迷惑をかけてしまいましたけど、もし、いまだに診断されていなかったらと思うと、恐怖しかないです。 ――入院による休止を経た活動再開後、今年(2024年) 10月と12月にリリースされたEPには、それぞれ、ADHDについて描かれたリリックの曲が入っていました。 4s4ki そうですね。いまは自分の音楽と姿を通して、ある証明したい思いが強くあって……。 撮影 深野未季/文藝春秋 「ああ、ADHDでも意外と頑張れるじゃん?」4s4ki(アサキ)が疾患を告白して証明したかったこと《より良くなるために「楽しく戦おう!」》 へ続く
内田 正樹
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