侍ジャパンが強化試合で露呈した4つの不安!
来年3月のWBCでV奪回を狙う侍ジャパンがメキシコ、オランダとの強化試合を3勝1敗で終えた。投手陣は4試合で、防御率5.92、42安打29失点と大炎上。逆に打線は2戦目から調子を上げて、40安打、33得点と爆発したが、全試合4番に座った中田翔(日ハム)が打率.182と不振を極め、2試合3番で起用された“トリプルスリー”の山田哲人(ヤクルト)も.077と対応できていなかった。攻守に課題を露呈したが、WBCの初代世界一メンバーで評論家の里崎智也氏が、強化試合で見えた4つの不安を指摘した。 ひとつ目は、WBC公式球へ対応不足はもちろん、対応する環境がなかったことだ。 「WBCで勝つには投手力です。いかに点をやらないか。今回はメキシコ、オランダのピッチャーのレベルがそう高くはなく四球や失策なども絡み点の取り合いになりましたが、本番ではこういう展開にはなりませんし、打ち合いでは日本は不利になります。しかし、その投手陣が不安を見せました。原因は明らかで、滑る、重いというWBC公式球への対応不足。石川や千賀は、明らかにボールに戸惑っていました。でも私が問題にするのは、なぜ対応ができなかったのか、です。 4試合を戦いましたが、4試合目に先発した石田も、なんら対応した成果が見えませんでした。今回のメンバーにWBC経験者はゼロでした。スタッフを見ても権藤投手コーチも経験はありません。つまりWBC公式球をどう扱うかのプロのテクニックを教える人がいなかったんです。実はメジャーの公式球を扱うためには、口外できないような細かいテクニックも含めて対策が必要です。それをやっても合わない選手は出てきますが、今回は、誰もそういう対策を教える人がいなかったのでしょう。その環境を整えないと、本番でも同じ失敗を繰り返す危険性がありますよ」 優勝した2006年のWBCで、里崎氏は審判がボールをチェンジする際、必ず先に自分が受け取り、素手でこねて(手袋でこねると不正行為を疑われ注意される)湿らせ、少しでもボールが滑らないような丁寧な配慮をしていた。メンバーには、当時レンジャーズのストッパーだった大塚晶文がいたので、投手陣もメジャー球に慣れる細かいテクニックを伝授されていたという。 2013年のWBCも、国際経験豊富な杉内俊哉(巨人)がメンバーにいて、現役時代にアメリカで野球をやった経験のある与田剛投手コーチがスタッフに入っていたため、公式球の対応に対するアドバイスのできる環境が揃っていた。だが、今回の強化試合のメンバーには、滑るボールへの対策を語れる人が、誰もいなかったのである。 里崎氏は、「来年の合宿では、アドバイスのできるメジャーやWBC経験者を臨時コーチに呼ぶなどする対策が必要だと思います」と、提案する。