エンジンオイルの缶に書いてある「0W-20」に「10W-30」! 潤滑だけじゃないオイルの役割と数字の意味を誰でもわかるように詳しく解説!!
■オイルの粘度表記は何を表しているのか
さて、ここからエンジンオイルの粘度についてのお話です。 まず始めに、「粘度」というのはオイルの流動性を示す言葉です。言葉ではちょっと難しいですが、要は数字が少ないと粘度が低くサラサラで、数字が大きいと粘度は高くドロドロになります。 粘度が低いことを「柔らかい」、高いことを「硬(固)い」と表現する人もいます。 斜面に垂らしたときにすーっと流れていくのが低粘度で、ゆーっくり流れるのが高粘度です。 エンジンオイルには、用途に応じて粘度の違うものが用意されています。ここで今回の主題、数字と記号が合わさった例の文字列について解説します。 ここでは「10W-40」を例に話を進めていきましょう。 ハイフンを挟んで両側に数字とアルファベットが配置されています。頭にWが付いた2桁の数字は「低温時の粘度」を表しています。ちなみに「W」は「Winter(冬)」の頭文字です。 通常のオイルは主に0/5/10/15/20/25の6つにわけられています。 この数字は一定の温度における粘度を表したものと勘違いしている人も少なくないと思いますが、正しくは「外気温が○○度の状態まで対応している」という数字になります。具体的な数字は下記のとおり。 0W:-35℃ 5W:-30℃ 10W:-25℃ 15W:-20℃ 20W:-15℃ 25W:-10℃ 数字は「グレード」を表しているので、温度の数字とは関係無いのがややこしいですね。 ともかく、数字が低いほど低温に耐えられるということです。そのため、豪雪地域など気温が0度を大きく下まわる地域では、グレードの数字が低いほうを選ばないとオイルが固まってしまい、始動が困難になってしまいます。 逆に西のほうの温暖な地域では、数字の大きいものを選んでも固まる心配がありません。もちろん、数字が小さいものを使用しても何ら影響がないので、温暖な地域ではそれほど前半の数字は気にする必要はないでしょう。 そして、ハイフンから後の2桁の数字は「高温時の粘度保持性能」を表しています。 こちらもグレードに応じて数字が割り振られていますが、こちらは主に8/12/16/20/30/40/50/60の8つにわけられています。 ややこしいのが、この数字は低温側に対する高温側の対応幅と捉えてしまいがちなことです。 この後半の数字はオイル自体の基本粘度を表しています。耐熱温度ではないということに注意してください。オイルの耐熱温度はその配合などによって異なりますが、油温の上限は130度といわれていて、それを越えるとエンジンが耐えられなくなる可能性が高くなります。 高温側の粘度というのは、メーカーによって基準がやや異なりますが、常用域の高い側である油温が85~90度の間の温度を基準に算出した粘度となっています。 この温度域でどれくらいの粘度≒油膜保持性能を維持できるかという基準がその数字というわけです。なので、オイル自体の基本粘度はこちらの数字といっていいでしょう。