長引くインフレ、育児サービス施設不足で、保育コスト高騰に悩む米国。夏休みの過ごし方にも影響
夏休み定番の子どもたちの過ごし方、キャンプ
キャンプが質の高い体験を生み出せるよう支援する非営利組織、アメリカキャンプアソシエーション(ACA)によると、米国のサマーキャンプの平均費用は1日あたり約87米ドル(約1万2,600円)で、泊まり込みキャンプの場合は1日あたり約173米ドル(約2万5,000円)に上る。 米国の子どもたちの夏の過ごし方の定番がキャンプだ。1870~1880年代に生まれたキャンプは当時は少年のためのもので、都会化する現代生活を離れ、アウトドアで生活し、人格形成を行うことを目的にしていた。現代のキャンプも、そのモットーを受け次いでいる。子どもが社会的、感情的、知的、道徳的、身体的に成熟するのに、キャンプ体験が役立つと専門家が認めていると、ACAはいう。 現在トレンドのプログラムは、ジップラインやマウンテンバイクに挑戦するアドベンチャープログラム、大自然と触れ合うプログラム、ガーデニングなど、自然関連のものが目立つ。 夏のキャンプ数は1万2000を超え、学校が夏休み期間中、9~12週間運営される。そのうち、子どもは3~5週間参加する。参加者数は米国の子どもの約2分の1にもなる。 泊まり込みのキャンプは特に人気で、親は子どもにテクノロジーから距離を置くいい機会だと考えている。新しいスキルを身につけたり、新しい友達を作ったり、自然を体験したりするのに良いと考える。自立心を育むのにも有効だと親は考えている。 休み中、子どもが楽しみながら学ぶことができ、自分の手から離れるということもあって、子どもだけでなく、親からも大きな支持を得ている。
夏のプログラムに、月に30万円近くを費やす親も
米国の、18歳未満の子どもを持つ親たちの40%が一番ストレスに感じている季節は夏だという。2024年4月に発表になった、企業や組織向けアンケート調査のプラットフォームを影響しているクアルトリクス社が、米国の会計ソフト最大手のインテュイット社傘下のクレジットカルマ社の依頼で実施した調査の結果だ。主な理由に、61%の親が保育料の高さを挙げている。夏休みなので、子どもを特別なプログラムやアクティビティに参加させなくてはならない。 夏のプログラムに子どもを登録した親のうち、費用支払いのために借金をする人は28%。夏のプログラムにお金を出すという58%の親のうち、ほぼ23%が子ども1人あたり月1,000米ドル(約14万5,000円)以上、6%が2,000米ドル(約29万円)を超えるコストがかかると言っているそうだ。40%の親は夏のプログラムが高いので、子どもを参加させたくても、させられない状態だという。 子どもが夏休みの間、自分の勤務時間の調整が必要な親が35%。中には片方の親がキャリアを犠牲にして、子どもの面倒を見ざるを得ないケースも出ている。 また、300万以上の家族を代表する非営利の親と家族の擁護団体、ペアレンツ・トゥゲザー・アクションが2024年6月に発表した調査報告によれば、親の54%が、子どものために夏のプログラムを探すのに苦労した、またその費用を捻出するのが大変だったと言っているそうだ。夏のプログラムの支払いを行うために、節約をしたり、借金をしたり、貯金を断念したりした人、仕事を辞めた人は38%だった。