ミニのクロスオーバー型ピュアEV「エースマン」は、“オリジナル・ミニ設計者がいま作るとしたらこんなモデル”を具現化した1台
ミニの新型車「エースマン」が、2024年6月に発売され、10月にコペンハーゲンでメディアむけ試乗会が開催されました。オリジナル・ミニの設計者が、もしいま生きていて、新たにミニを作るとしたら、という仮定で開発されたモデルといいます。 【エースマンならではの個性を強調したリアスタイル】
エースマンはスポーティな印象のクロスオーバー型
ミニ・エースマンは、全長4080mmとコンパクトな車体が特徴。それが、オリジナル・ミニとの共通点といえます。もうひとつの共通点があるとしたら、きびきびと動く操縦感覚。エースマンはピュアEVなので、アクセルペダルを軽く踏み込んだだけで、すかさず加速。それが俊敏さを感じさせます。 オリジナル・ミニについて少し触れると、全長3mそこそこの4人乗り。エンジン横置き、変速機はその下に。いわゆる2階建ての画期的設計で、室内空間を出来るだけ広くとった設計が特徴的。いっぽう運動性能が高く、ラリー選手権などモータースポーツでも大活躍しました。 エースマンは、アイコン的なオリジナル・ミニとはだいぶ違います。なによりデザイン。オリジナル・ミニはロードクリアランスがとても小さく、路面に吸い付いたような姿勢で走りました。それに対してエースマンはクロスオーバー型。 ミニ・エースマンの外観には、さまざまな特徴があります。新しい五角形を強調した変形ヘッドランプ、オリジナル・ミニとの共通点を意識させる輪郭だけのグリル、前後タイヤハウス回りの黒い合成樹脂製のクラディング、張り出し感が強調されたフェンダー、スポーティな印象を醸し出すリアコンビネーションランプ、とたくさん挙げられます。 それでいて、ボディ面はなめらかで、アグレッシブな印象よりも、ちょっとキュートなトイ感覚。こんなところも、オリジナル・ミニの設計者が“いま”ミニをつくったら、という仮定への答えなのかもしれません。
走りの印象は「大人っぽい感覚」
走りの印象は、どちらかというと、大人っぽい感覚。スポーティなハンドリングが前面に押し出されているのでなく、快適性が追求されていると感じられます。足回りはよく動いて、乗車姿勢はフラットで、路面からの突き上げもなく乗り心地は快適。 ハンドルを操作したときの車体の動きも、すこし前の世代のミニがうたっていた「ゴーカートフィーリング」より、もうすこしおだやかで、高速でもリラックスして走っていられます。 日本でのラインナップは2本立て。パワーのある「エースマンSE」(最高出力160kW、最大トルク330Nm)と、「エースマンE」(135kW、290Nm)。「S」は54.2kWhの容量を持つバッテリーを搭載し、一充電走行距離は414km(WLTC)。スタンダードモデルは42.5kWhのバッテリーで、327km走るといいます。 私がコペンハーゲンの市街地と郊外でドライブしたのは「S」。スムーズな加速感がじつに快適です。ミニのねらいどおり、市街地の駐車など取り回し性がよく、「東京など大都市で使うのもいいでしょう?」という開発スタッフの言葉に納得でした。