【全日本大学駅伝】5位でシード権獲得の早稲田大、出雲路で空回りした主力が修正「8割以上の力を出せた」
11月3日に行われた第56回全日本大学駅伝で早稲田大学は5位に入り、2大会ぶりとなるシード権を獲得した。國學院大學、駒澤大学、青山学院大学の3強の一角は崩せなかったが、昨年の10位から大きく順位を上げた。花田勝彦監督は「チームとして、8割以上の力を出せた」と選手の走りを評価した。 【写真】城西大学との勝負を制し、5位でフィニッシュした早稲田の工藤慎作
出雲で「総合力が上がっていることは確認できた」
前日会見で花田監督は、10月の出雲駅伝で後半区間の選手が好走したことを挙げて「チームの総合力が上がっていることは確認できた。主力もつなぎの区間も力を出した中で、上の五つのチームと戦えるかを見たい」と抱負を語っていた。 3年連続で1区に起用された間瀬田純平(3年、鳥栖工業)は、スローペースで進む中、終盤に引き離され、トップから12秒遅れの18位で山口智規(3年、学法石川)に襷(たすき)をつなぐ。青山学院大学の鶴川正也(4年、九州学院)や創価大学の吉田響(4年、東海大静岡翔洋)ら、各校のスピードランナーがそろう中、山口は区間5位の走りでまとめ、順位も5位に押し上げた。 3区では、藤本進次郎(3年、清風)が10位まで順位を落としたが、続く4区の主将・伊藤大志(4年、佐久長聖)が奮起。出雲駅伝では2区を走り、序盤のハイペースがたたって区間10位に沈んでいたが、この日は、気持ちが先行して空回りしないようにと自分に言い聞かせてスタート。冷静にペースを刻み、区間5位の走りで順位を7位に上げた。
1年生の山口竣平が区間3位の好走
伊藤から「前を追っていけ」と言われながら5区で襷を受け取ったのは、高校の後輩にあたる山口竣平(1年、佐久長聖)。学生3大駅伝のデビュー戦となった出雲駅伝では、3区で区間11位という結果に終わり、その後、調子を崩していたが、この日は区間3位と好走。6位に順位を上げた。出雲駅伝の後、休養をとったことで調子が上向いていたという。「出雲駅伝は、弱気で走ってしまい、何も考えないで走ることができなかった。全日本では、正直、何位で来ているか分からなかったけど、『抜かされずに抜けば良い』と思って走った」 その後、6区の伊福陽太(4年、洛南)、7区の長屋匡起(2年、佐久長聖)で6位をキープして、最終区の工藤慎作(2年、八千代松陰)へ。花田監督が「無限の可能性を秘めている」と期待し、出雲駅伝でも最終区間で区間2位の走りを見せたばかり。この日は、10秒差で前を走っていた城西大学の平林樹(4年、拓大一)をとらえた後、その先を走る創価大学・野沢悠真(3年、利府)を追うかどうか迷ったが、思った以上に差が縮まらないことから平林との勝負に専念。並走した後に突き放し、順位を一つ上げて5位でフィニッシュした。区間記録では、駒澤大学の山川拓馬(3年、上伊那農業)、野沢に次いで3位。工藤は、課題として、序盤に早いペースで入って後半に失速したことを挙げつつも「城西大の平林選手と駆け引きをして勝負できた」ことを収穫に挙げた。