東ちづる×マメ山田×ドリアン・ロロブリジーダ×エスムラルダ マイノリティが本音で語る「不条理」「もやもや」「生きづらさ」
◆悩んでいる人には楽になってほしい ドリアン それはもう、東ちづるの辣腕ですよ(笑)。お声をかけていただいたのは、コロナの最中でしたよね。私自身はLGBTになるんだろうけど、「生きづらさ」を感じてはこなかったの。でも、マイノリティに対するみんなの「もやもや」は感じてたから、一石を投じたいし、悩んでいる人には楽になってほしくて。 ――なるほど。ちなみに、ヒールを履いたら190センチのドリアンさんと、114センチのマメさんを、同時に画面に入れるのは、カメラマンが大変だったのでは? ドリアン まさに! 2人ともカメラマンさんからしたら画角殺しで。 ――椅子を使ったり工夫された? マメ いやいや、それじゃ意味ない。 ドリアン まあ最後は私の頭が見切れればいいので(笑)。でも、私はマメさんとの撮影、すごく楽しかった。最後2人で泣くシーン。あれが一番好きで。 マメ まあ、こっちも楽しかった。でもドリアンの傍にいると、「なんで自分は電車に子ども料金で乗れないのか」とつくづく思うよね。 ――マメさんは子ども料金じゃないんですか? マメ ないんだよ 東 いや、一目見たらおじいちゃんとわかるじゃないですか?大人ですよ。 マメ いやでも、目方とサイズなら自分は子どもサイズだし、エレベーターや券売機のボタンに手が届かないからね。 ――もしかして、障害者手帳もないんですか? マメ ないよ。
◆「人の役に立つ社会」を作らないと それは大変ですね。昔あった「こびとプロレス」なども差別的と言われてなくなり、働く所は減っているのに、国から保障もされないなんて。 東 そうよね、障害者年金もないしね。 マメ でも社会はそういうことを見ようとしない。どこかの局は、ロケの街の風景に車椅子の方が横切っただけで、観た人からクレームが来たんだそうです。なぜ車椅子なんか映すんだと。 ――おかしなことです。なぜそんな反応を? 東 多分、障害のある人と会うと不安になるんですよ。その奥には「社会の役に立たないと生きる資格がない」という思い込みがあると思う。自分がそこからこぼれてマイノリティになることが怖い。だから関わるのも躊躇するのではと。 ドリアン 障害者を扱う番組とかも、「守ってあげなきゃ」的に上から目線だったり、「ダウン症の子はみんな天使」みたいに型にはめちゃう。見ると「もやもや」するわ。もっとフラットでいいのに。 東 最初は戸惑いもあるだろうけど、慣れればなんてことないですよ。同じ人間なんだから。 エスム 「健常者で健やかである」ことだけがよしとされる社会って不健全よね。みんないろいろ違うのに。 東 あと、最近は「障害者も役に立てる社会に」という圧もあって。とんでもないですよ。役に立てる力がない人も沢山います。人が社会の役に立つというより、「人の役に立つ社会」を作らないと。 ――ですね。誰もがマイノリティの側になる可能性もあります。もちろんそれは悪いことではないですが。 ドリアン そういう「もやもや」をちょっと見つめてほしいかなって。でも私たちは「世の中を啓蒙しよう」とか力んでもないのよね。まずは楽しんでほしいの。 エスム 最初はこの映画を観た方は「ここで笑っていいのかな」と、戸惑ったりもするかも。でも私たちは楽しんでほしくてやっているので、遠慮なく自由に笑ってほしい。 マメ でも自分は今でも、「電車に子ども料金で乗りてエー!」って主張したいよ。 全員 (笑)
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