【レシピを見ずに料理上手】になるために重要な「“お手本”選び」って?プロが解説!
「レシピを見ずに料理するのが、料理上手の証!」というイメージ、ありませんか? 私はあります。今回は、それが正しいのかどうか、プロの意見を聞いてみました。どうやら料理上手の人の頭の中は、メシマズとは大きく違っている模様。正しいレシピの活用法を知って、「考え方」からメシマズ脱却を図りましょう! 〈マンガで見る〉料理上手になるための「ヒミツ」は?
「メシマズ」とは?
「作るメシがマズイ」の意。ネットの世界では「味が極端にマズイ」「見た目も味もひどい」など、激しいものを指すことが多いですが、この連載では「料理歴はそこそこあるのに味が微妙・たまに成功するけれど、だいたいおいしくない」といった意味で使用しています。
【登場人物】
教えてくれるのは……小田真規子さん 料理研究家 教わるのは……オギ エディター
料理のスキルを上げるには“お手本”選びがかなり重要
オギ 今って肉じゃが一つにしても、いろんなレシピがあって、一体どれを参考にすればいいのかよくわからない……というところもあります。 小田先生 自分のベースとなる料理体験を着実に積み重ねていくには、お手本選びがとても重要です。大切なのは、参考にするお手本をコロコロ変えないこと。あるときは料理のサイト、あるときはインスタグラマー、あるときは時短料理が得意な人……とその時々で参考にするものを変えてしまうと、「何が正解か」「誰の言うことを軸にすべきか」がブレてしまいます。 オギ 身に覚えがありすぎます……。 小田先生 人によって「おいしい料理」の定義はいろいろですし、味の好みや作り方も異なります。ある人のレシピや考え方がいいなと思ったら、その人の料理をとことん深掘りして、「こうすればおいしく作れる」という自分のベースを作っていくのがおすすめです。インスタグラムで見たおしゃれな料理に挑戦するのは、それからでも遅くありません。 オギ つい先日も、「パラパラチャーハンを作るには、卵とごはんを先に混ぜておくといい」という情報をとりあえず真似してみたんです。でも、ただ真似するだけだと、「卵のタンパク質で米をコーティングすることでパラパラになる」という理論を知らないままなので、火通りが甘くてべちゃっとした仕上がりになる……みたいな失敗がよくあります。 小田先生 そういうフレーズだけを知って、いきなり料理に活かそうとしても、なかなか手先まで落とし込むことは難しいですね。体験としてはなかなか身につかないところがあります。 オギ インスタグラムなどで何品も並んだ素敵な食卓を目にすると、「自分も!」と意気込むものの、成功したためしがなかったのは、「体験として身につかない」からだったんですね。納得です! 小田先生 最近はSNSの影響もあって、料理が“人に見せるもの”になっています。それは悪いことばかりではありませんが、「毎日違うものを作らないといけない」「何品も用意しないといけない」と、必要以上にカッコつけようとしてしまう弊害もあります。基本となる体験を積むことなく、あれもこれもと中途半端に手を出してしまうので、「何をやってもうまくいかない」となりがちなんです。 オギ スキンケアやメイクだって「基本があってこその応用」が当たり前なのに、なぜか料理だとそれがスコーンと抜けてしまうんです。 小田先生 いきなり凝ったことをしようとする人が多いけれど、そのためには自主トレやウォーミングアップが必要でしょ? まずは、同じ方法で味噌汁や卵焼きを10回、20回繰り返し作ってみるだけで十分。それが「体験を積む」ことです。何度も同じ方法で作っていく間に、「味噌を少し増やしたほうが好みの味になるな」「この卵焼き、ネギを加えるとおいしいかも」と、自分がおいしいと思えるものが見えてきます。それだけで体験はどんどん積み上がっていくし、作れるバリエーションも増えていきます。 オギ 何事も基本が大事なんですね。 小田先生 そうです。特に面倒だと敬遠されがちな「分量を測る」というのも、きっちりやっておくといいですよ。それを続けていくと、「このくらいの分量だとこういう味」というのが、自ずとわかるようになっていきますから。 撮影/国井美奈子 監修/小田真規子 イラスト/大窪史乃 取材・文/伊藤彩子 Edited by 西村 美名子
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