【インタビュー】ソフトバンク・中村晃 勝つために、やる「自分の形に、こだわりはあまりない。数字が出せるのであれば、どんな形でもいい」
もっとシンプルに
ソフトバンク・中村晃
安打を重ねるたびに、技術力の高さと勝負強さが光る。3年ぶりのV奪還に向け、粛々と職務を全うする切り込み隊長は、ポーカーフェースで感情を表に出すことはあまりない。ただ、その胸には誰よりも熱い思いを秘めている。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、桜井ひとし 6月17日の阪神戦(甲子園)、9回二死一、二塁。打席の中村晃は、カウント2-2と追い込まれながらも冷静だった。“あと1球コール”も「聞こえていましたけど、ああ、こんな感じなのかと」。そして、岩崎優の7球目のスライダーを逆方向にはじき返しての逆転V打。この場面に限らず、ここ一番での集中力で、今季も何度となくチームを救ってきた。そしてこれからも、その働きはチームにとって欠かすことができない。 ──開幕から6月18日現在、全試合に出場。69安打はリーグトップの成績です。 中村晃 状態は悪くはないと思います。(体で)痛いところもなく、しっかり試合に出られていますし、その中である程度の成績は残せているのかなと。今のところは順調に来ていると思います。 ──開幕からの疲れが見え始める選手もいますが、コンディションは? 中村晃 そんなに変わりはないのかなと思いますね。むしろ、昨年と比べると元気だなと思うところも。試合が終わってから次の日に向けての準備も、しっかりできているので。そこら辺は、いいのかなと思いますね。 ──元気というのは何か、オフシーズンからの取り組みの成果だったりするのでしょうか。 中村晃 どうですかね。でも、(昨年の)12月もしっかり練習はしていました。秋のキャンプには行きませんでしたが、自分でペースを決めて、定期的に動けてはいたので。以前は、どうしてもまとめて休みがちだったんです。それをしっかり動くようにしました。どうしても年を重ねてくると、立ち上げるのに結構時間がかかりますからね。スムーズに1月、2月と入っていきたいなと思っていて、そこはうまくできたのかなと。ここ数年、数字が残っていなかったこともあって、何とかもう一度、と思った。ダメだったら終わりぐらいの覚悟で、しっかり後悔のないようにやろうと思いました。 ──その覚悟、取り組みの成果があっての今季、ここまでというわけですね。 中村晃 まあ、今のところは、ですけど。 ──打撃面の安定というところでは、昨季の途中から変化を見せていた打撃フォームも要因の一つではないかと思います。中村選手といえば、バットを構えたときに右足を上げる特徴的なフォーム。それを下半身に意識を置いて、足を上げずにすり足気味にしたり。見た目としてもかなり違いが分かるフォームですが、どうしてこのような大胆な変化を? 中村晃 単純にもう数字が出ていなかったので。それが一番の理由ですね。ずっと同じことやっていても、数字が出ないままだと思った。変えることに関しては・・・
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週刊ベースボール