4度目の核実験 北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか?
北朝鮮が行なった4回目の核実験が、国際社会に波紋を広げています。北朝鮮は初の「水爆」実験に成功したと発表。国連安全保障理事会(安保理)は、北朝鮮の核実験を非難する報道声明を発表し、制裁強化も視野に対応を協議しています。こうした国際社会の反発を受けながら、なぜ北朝鮮は核兵器を持とうとするのか。北朝鮮の核問題を解決するためにはどうすればいいのか。北朝鮮情勢に詳しい元外交官の美根慶樹氏に寄稿してもらいました。 【写真】北朝鮮が水爆実験に成功したと発表、「原爆」と「水爆」の違いって?
北朝鮮は一層ムキになる?
1月6日、北朝鮮は水素爆弾の実験に成功したと発表しました。これは核実験としては4回目で、初めての「水爆」実験です。国際社会の反対を無視し、地域の安定を乱す暴挙であり、日本政府は重大な懸念を表明するとともに、放射能の拡散やその他の環境面での影響について調査・分析し、また米国や韓国などと連携して取るべき対応措置を検討しています。 安保理は、日本と米国の要請を受けて緊急の会合を開いて対策を協議しており、すでに核実験を非難する報道声明は出されました。従来より強い内容の制裁が科される可能性もあります。 北朝鮮の核開発については、朝鮮半島の非核化、核兵器としての性能、軍事的な効果、米国や中国との関係、さらには金正恩体制など様々な側面から議論されています。今回の実験は本当に水素爆弾であったかなども注目されていますが、あまり技術的なことに関心を集中させるのは感心できません。「北朝鮮の水爆はレベルが低い」などと言うと、北朝鮮は一層ムキになるのではないでしょうか。 大事なことは、北朝鮮の核実験を止めさせることです。そもそも北朝鮮はなぜ核兵器を保有しようとするでしょうか。
なぜ核を持とうとするのか
実は、北朝鮮の地位は非常に不安定です。日本ではとても想像できないことですが、北朝鮮は下手をすれば国が滅亡してしまう危険にさらされています。そもそも1950年に勃発した朝鮮戦争は、現在休戦状態にあるだけで終了していません。冷戦が終わるときに危険が増大しましたが何とか乗り切りました。しかし、その後も状況は基本的に変わっていません。 いったい、どこの国が北朝鮮を脅かすのかといぶかられるかもしれません。もちろん21世紀の現在、常識的には北朝鮮を攻撃するような国はなさそうですが、北朝鮮にとっての脅威は米国です。米国はかつて北朝鮮に軍事侵攻すべきか検討したことさえあります。その道ではよく知られていることです。 かつて中国とソ連は北朝鮮の同盟国でしたが、ソ連は消滅し、ロシアとは軍事同盟関係にありません。頼りの中国についても、最近関係が悪化し、どの程度頼れるか怪しくなってきました。