ミュート、スキップ、アルゴリズム調整…… 米国で急増する「投票にはいくが、政治ニュースはみない」人たちが与える選挙への意外な影響とは?
「投票にはいくが、政治ニュースはみません」
大統領選を目前に、米国人は連日、政治ニュースを観て白熱しているかと思いきや、実は深刻な「政治ニュース離れが起きている」と報じられている。 【画像】4月の時点で米国人の62%が選挙報道にすでに疲れ果てていた 2024年の「デジタルニュース・レポート」によれば、米国人の43%が何らかの形でニュースを避け、8%がほとんどまたは全くニュースを見ない「一貫したニュース回避者」とされている。 このニュース回避者には「若年層や労働者階級が多い」。 彼らは政治に関心が薄く、政治的な活動も少ない傾向がある。背景には、長時間の労働による疲労や時間の無さ、また、子育てや介護の負担が大きいことなども関係しているという。 加えて、ジャーナリズムの公平性に対する不信感、センセーショナリズムへの不満などもニュースを避ける理由として挙げられている。 こうした政治ニュース離れの傾向は、「トランプ政権以降、ソーシャルメディアを含むオンラインニュースの増加と合わせてさらに高まった」とされているが、この傾向には、前述のような「政治への関心が薄い人たち」だけでなく、「関心はあるが意図的に避けている人たち」の存在も大きいと、米誌「アトランティック」は述べている。 ただ、彼らは「選挙運動の報道をほとんど避けているにもかかわらず、最終的には投票にいく人たち」だという。 彼らがニュースを意図的に避けている最も大きな理由は、それらを消費することで募る「不安や疲労感」。 彼らは投票のために「政治ニュースを追う必要性をもう感じていない」ようだ。 ピュー研究所の2024年4月の調査報告では、米国人の62%が選挙運動や候補者の報道にすでに疲れ果てていると発表された。 また、米シカゴ大学のリサーチ団体が5月に実施した世論調査では、調査対象者の49%、実に半数が「2024年大統領選挙に関するニュースを受け取り、読んだり見たりするのにうんざりしている」という意見に同意したことが明らかになった。 さらに別の研究によれば、「フォックスニュース(右派寄り)やMSNBC(左派寄り)といった偏向的なメディアを毎月8時間以上視聴しているのは、米国人のうち約15%だけ」だと報告されている。 これらのデータは、政治ニュースへの無関心が広がっていることを示唆していると、同誌は述べている。