ミュート、スキップ、アルゴリズム調整…… 米国で急増する「投票にはいくが、政治ニュースはみない」人たちが与える選挙への意外な影響とは?
「政治ニュースを無視するのが容易に」
実際、近年はデジタル化以前よりも「政治ニュースを無視するのが容易になっている」。 無数の政治ニュースや関連広告がオンライン上に流れるようになったとはいえ、それらが流れるや否や「ミュートする、スキップボタンを押す、スクロールする、アルゴリズムに自分は政治に興味がないことを教える」などの「これまでよりも簡単な方法で、多くの人たちが政治報道を回避している」と、政治学者のデイビッド・ブルックマンは同誌に語っている。 彼らは、政治ニュースが流れるテレビの代わりに、ネットフリックスなどで自分の趣味に沿ったコンテンツを視聴し、ソーシャルメディア上でも動物や食べ物などの非政治的なリール(動画)を楽しんでいるという。 また、別の政治学者はこう述べている。 投票に行く有権者のなかで、「最後まで誰に投票するか本当に迷っている人というのは、全体の15%未満にすぎず、大多数の有権者は誰に投票するかを決めている」。 政治報道によって何らかの説得が可能な層というのは「ごくわずか」。 この「投票にはいくが、そのために政治ニュースは意図的にみない人たち」のほとんどは、これまで支持してきた政党に投票するという。 そして、彼らだけでなく「大多数の有権者もそうしている」。つまり、国民の考えを「変える」のに政治ニュースができることは、もはやさほど大きくはないとの見解を示している。
COURRiER Japon