「部下が怖いんです…」部下に辞められた上司の闇 「離職の連鎖」起きる前に離職の心理を理解する
そのため、離職を防ぐには社員が抱く欲求を満たし、「辞めたい」という心の動きを生じさせないことが必要になります。 では、社員はどのような欲求を持っているのでしょうか。 欲求の分類でいえば、マズローの「欲求段階説」が有名ですが、アメリカの心理学者クレイトン・アルダファーは、欲求段階説を発展させた「ERG理論」を提唱しました。 ERG理論では、人間は「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」という3つの根源的な欲求を抱くとしています。
生存欲求とは、安心・安全に生きていきたいという欲求です。 関係欲求とは、良好な人間関係を築き、人から認められたいという欲求です。 成長欲求とは、苦手を克服し、創造的、生産的でありたいという欲求です。 また、人間の欲求は「私欲」と「公欲」に分けられます。 私欲とは自分がいい思いをしたいという欲求です。ERG理論の生存欲求、関係欲求、成長欲求はいずれも私欲に含まれます。 一方、公欲とは人に喜んでもらいたい、人や社会の役に立ちたいという欲求です。
仕事でお客様や上司・部下に喜んでもらえたり、仕事に社会的意義を感じたりすることで公欲が満たされると、仕事にやりがいや誇りを感じます。 部下もこの4つの欲求を抱いており、会社や上司に対して次のように欲求を満たしてほしいと望んでいます。 ・生存欲求→健全な労働環境のもとで十分な給料を払ってもらいたい ・関係欲求→良好な人間関係の中で働きたい、自分のことを認めてもらいたい ・成長欲求→成長の機会を提供してもらいたい
・公欲→仕事を通じて人を喜ばせたい、社会の役に立っている実感を得たい このうちのどれか1つでも満たされなければ、それが離職の要因となります。 そしてどの欲求が強いかは、部下によって異なります。 ■4つの離職の要因を把握し、必要な対応をとる 例えば、負担を軽くする、優しく接するという関わりは関係欲求を満たすには良いですが、部下が成長欲求が強く、厳しい環境でより多くの仕事をこなして早く力をつけたいと思っている場合、その関わりでは物足りなくなり、離職することがあります。