「近鉄・オリックス球団合併」騒動から20年…選手会を勝たせた“主任裁判官”決断の「決め手」になったものとは
「良い裁判」をするために
その決定後、団体交渉が一時的に行き詰まり、選手会は史上初のストライキをして、それこそクライマックスを迎えたのですが、最終的には、妥協が成立しました。 近鉄のオリックスへの合併を受け入れる代わりに、新球団の参入、結果的には楽天球団の参入を認めさせて、2リーグ12球団制を存続させるという大成果を挙げ、そのまま現在に至っています。 そのため、今も行われているプロ野球日本シリーズが見られることと、東北に楽天球団ができたのは、私たちのおかげだと密かに自負してきました。 私は、故郷の球団である中日ドラゴンズに加えて、球団結成時からの東北楽天ゴールデンイーグルスのファンになりました。球場でプロ野球観戦をするたびに幸福感に浸っています。良い裁判をすると、とても気分爽快なのです。 「良心的裁判官」は、このように、良い裁判をしたいと思って、訴訟指揮権を駆使し、それなりに時間もかけて、原告と被告に働きかけます。審理の進め方によっては、勝ち負けが途中で逆転する例も珍しくありません。裁判はとにかく早ければいいというものではないのです。
竹内浩史(裁判官)