入店後30秒足らずで中学生2人を刺したか、男は逃走中 北九州
北九州市のファストフード店のレジに並んでいた中学生2人が14日夜、男に刃物のようなもので刺され女子生徒が死亡した事件で、男は入店した直後に2人に近づき無言で次々と刺していたことが、県警への取材でわかった。犯行後、逃走までは30秒足らずだったといい、県警は男が当初から人を刺す目的で店にやってきたとみて調べている。 【写真】事件が発生した飲食店内を調べる捜査員=2024年12月14日午後10時27分、北九州市小倉南区徳力1丁目、興津洋樹撮影 県警は15日、死亡したのは同市小倉南区志井6丁目の中学3年、中島咲彩(さあや)さん(15)と発表した。 県警によると、事件は14日午後8時25分ごろ、同市小倉南区徳力1丁目の「マクドナルド322徳力店」で発生した。店には出入り口が駐車場に面した南側と国道に面した東側の2カ所あり、男は東側から入店。レジに並ぶ列の後方にいた2人に近づき刺した後、同じ出入り口から逃走したという。 当時、レジにはほかの客も並んでいたが、男は列後方の2人にまっすぐ向かい、無言のまま立て続けに2人を刺した後、すぐに同じ出入り口から店外へ逃走したという。防犯カメラの映像や目撃者の証言などを精査した結果、店での滞在時間は30秒足らずだったとみられる。 2人は救急搬送され、中島さんは約1時間40分後に死亡が確認された。腹部付近を1回刺されていたという。同級生の男子生徒(15)も腰付近を1回刺されて負傷したが、意識はあり、命に別条はない。男子生徒は「全く知らない人に刺された」といった趣旨の話をしているが、男と女子生徒に面識があったかどうかはわかっていないという。 刺した男は40歳くらいで中肉、身長は170センチほど。灰色の上着と黒色ズボン、黄色っぽい靴を着用していたという。県警は小倉南署に刑事部長以下91人態勢の捜査本部を設置し、殺人と殺人未遂の疑いで男の行方を追うとともに、付近の防犯カメラの精査などを進めている。(鳥尾祐太) ■市立学校の部活動など中止 事件を受けて 北九州市のファストフード店で中学生の男女2人が男に刺され、女子生徒が死亡した事件を受け、市教育委員会は15日、市立学校の部活動や学校行事をすべて中止した。男が逃走していることから、児童や生徒が外出する活動をとりやめたという。 市教委は事件が起きた14日夜から対応を始め、15日朝に、学校を通じ、連絡用アプリで部活動などの中止を保護者に伝えた。さらに「不要不急の外出は避ける」「子どもだけで外出しない」などと呼びかけた。 このため、同市戸畑区主催の小中学生向けイベントや北九州市立高校の入試体験会などが中止となった。死傷した生徒が通う中学校には支援のための職員を派遣した。 市教委は「亡くなられた生徒さんのご冥福をお祈りするとともに、負傷された生徒さんの一日も早い回復を願っています。このような形でかけがえのない子どもの命が失われてしまったことは大変残念でなりません。子どもたちの安全・安心と心のケアに全力を尽くしてまいります」とのコメントを出した。(田中久稔)
朝日新聞社